新中学生へのメッセージ

のびのびとした中高生活で育まれた「自由な発想」が「世界初」に挑む原動力

株式会社ビジョンケア代表取締役
眼科医・博士(医学)

髙橋 政代さん


TOPIC-2

テニス部で培われた粘り強く立ち向かう根性

大学時代に力を入れたことはありますか。

髙橋 テニスに明け暮れた6年間でした。医学部は意外に運動部が活発で、医学部生だけの全国大会も開催されています。京都大学医学部のテニス部はけっこう強く、ベスト8あたりまでは進出していました。テニス部の活動を通して、体力はもちろん、根性が身についたことが、私にとって大きかったと感じています。というのも、テニスの試合では、選手交代がありません。そこがテニスというスポーツの過酷なところです。皆が応援する中で、大差で負けている惨めな状況であっても、試合終了まで戦い続ける必要があります。現在、新しい医療分野を切り拓いていく上で、さまざまな困難が立ち塞がりますが、あきらめずに最後まで粘り強く立ち向かおうという精神は、学生時代のテニス部で培われたものだと思います。

 一方で、学業はおろそかになっていた面もありました。いま振り返ると、素晴らしい先生方が教えてくださっていたわけで、もっと真剣に授業を受けておけば良かったという反省の気持ちがあります。

眼科を専門にされたのはなぜですか。

髙橋 大学を卒業して、すぐに結婚しました。医師の仕事もしっかりやりながら、子どもを産んで育てたいという思いがあり、眼科ならば、夜中に突然呼び出されることがなく、仕事と家庭を両立しやすいと考えたのです。この選択は大正解でした。臨床現場で数多くの手術を経験しながら、研究生活も充実させ、しかも二人の娘を育てることができたのも、眼科を選んだからだと確信しています。女性にお勧めの診療科であり、実際、眼科には女性医師が多いのですが、途中でリタイアするケースも見られます。残念なことだと感じています。

TOPIC-3

アメリカの研究所の経験がターニングポイントに

大学卒業後、どのような経緯で、現在の研究テーマを定められたのですか。

髙橋 1995年に渡米し、ソーク研究所の研究員になったことが、私にとってのターニングポイントになりました。網膜の再生医療という研究テーマに出会ったからです。それまで網膜の再生は不可能とされていました。ところが、ソーク研究所で先駆的に進めている神経幹細胞の研究を応用すれば、網膜の再生が実現できるのではないかという期待が膨らんだのです。具体的には、ES細胞やiPS細胞を移植して、網膜の外側の部分を再生させる治療法の開発です。これに取り組むのは、眼科医である自分しかいない。そういう使命感が生まれました。こうして目標が定まってからは、迷いなく一直線に研究に没頭してきました。

網膜の再生は現実味を帯びてきているのですか。

髙橋 ええ。網膜には7種類の細胞がありますが、そのうち2種類の細胞をつくりました。網膜色素上皮細胞は、すでに6例の移植に成功しており、2つ目の視細胞も、もうすぐ臨床研究がスタートし、近い将来、臨床現場での実用化をめざしています。できるだけ多くの人の治療に役立てるためには、営業、販売など、企業的な視点も必要になると考え、2019年8月、スタートアップ企業の株式会社ビジョンケアの代表取締役社長に就任しました。

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