新中学生へのメッセージ

「入試に役立つか」よりも「もっと学びたいか」で進路選択を

京都大学理事・副学長(教育・情報・評価担当)
北野 正雄さん


TOPIC-2

入学後の学びを意識させる問題を工夫して出題

京都大学では、2016年度から「特色入試」を導入しています。この入試の目的を教えてください。

北野 大学入学は、本来、学びのスタートであるはずなのに、入試に合格することがゴールになっている観があります。本学では、その要因を、大学入試に向けて、早くから準備を進めるあまり、一人ひとりの興味・関心、志が置き去りにされてしまっているからではないかと考えました。当然のことながら、中高の学びが、大学入試対策の座学に終始していいはずがありません。部活動などの課外活動も大切な学びですし、最近では、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)やSGH(スーパーグローバルハイスクール)、探究活動、あるいは科学オリンピック出場など、多彩な活動に力を注ぐ高校も増えています。ペーパーテストだけでは測れない、そうした意欲的な活動の成果を評価する入試が「特色入試」なのです。この入試の特色を鮮明に打ち出すために、ポスターでは「意欲買います」というキャッチコピーにしました。高校生たちには相当なインパクトがあったようです。特色入試で入学した学生の一人は、「意欲という言葉が心に響いた。自分に語りかけているように感じた」と語っています。

 また、本学は研究型大学を標榜していますから、志望する高校生には、入試段階で、大学に入学してから何を専門にしたいのか、明確にしておくことが望まれます。当然、それを高校生に求めるのなら、本学の入試形態も変わらざるを得ません。一般入試の学科試験で課される科目は、学部・学科による違いは少なく、配点が多少異なる程度です。それに対して、「特色入試」は学部・学科ごとの募集であり、それぞれが工夫を凝らして、入学後の学びを意識できるような出題にしています。高校生には、入試問題を通して、自分が本当にその学部・学科に適性があるのか、すり合わせる作業をしてほしいのです。それによって、ミスマッチが防げると考えています。

具体的には、どのような入試問題になっているのですか。

北野 たとえば理学部では、4時間かけて数学の難問を解いてもらいます。教育学部では、教育関係の新聞記事を読んで、小論文を仕上げる問題が出されています。これらの問題は、すべて公開しています。というのも、正直なところ、手間のかかる入試ですから、「特色入試」に多くの定員を充当することは困難です。そこで、一般入試を受験する高校生にも、「特色入試」の問題を見てもらうことによって、本学はこのような問題に挑める力を求めているのだというメッセージを感じ取ってほしいのです。私たちは、この入試問題自体が、入学後の学びをイメージするための「学びのショーケース」になっていると思っています。

「特色入試」で入学した学生は、どのようなタイプが多いのですか。

北野 コミュニケーション力が高く、何事にも積極的で、周囲を引っ張っていくリーダー的存在が多いと聞いています。留学にも意欲的なようです。2019年度、学生ロボットコンテストに15年ぶりで出場し、優勝したのですが、そのメンバーの多くが「特色入試」の学生でした。入学後の志が明確なため、多様な活動にチャレンジしようという意欲が旺盛な学生が多く、「特色入試」の成果に手応えを感じています。

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