新中学生へのメッセージ

「いい子でいなくては」という思い込みはやめて自分らしく生きてみよう

テレビ朝日 アナウンサー久保田 直子さん


テレビ朝日のアナウンサーとして、ワイドショーやバラエティ番組で活躍している久保田直子さん。明るく伸びやかで、個性あふれるキャラクターで人気を博しています。多士済々のマスコミ業界でもきらりと光るその個性はどうやって育まれたのでしょうか? その中高時代を振り返っていただきました。

TOPIC-1

女子校に行きたくて中学受験を選択

久保田さんは中高一貫校出身ですが、中学受験を意識し始めたのはいつごろですか。

久保田 小学校5年生のときです。なんだか学校に馴染めないという思いがあったんですね。女の子とはうまくやれるのですが、男の子にからかわれたりして、それがすごく苦痛でした。それで、「男の子のいない世界に行きたい」と、女子校ばかりを受験しました。ただ、実は合格した鷗友学園は第一志望ではなかったのです。

実際に入学してみて、どんな学校でしたか。

久保田 結果的にはすごく自分に合った学校でした。異性の目を気にすることなく、「女子だから」ということに縛られず、普通の人間としていられる学校で、そこが鷗友の良いところだと思います。すごく温かい雰囲気の学校で、卒業してからもずっと友だちとも先生方ともお付き合いが続いています。

今の仕事につながるような出来事はありましたか。

久保田 中学時代は、まだ何かをやりたいという強い意思も特技もこれといってありませんでしたが、友だちとのやりとりは楽しかったですね。ものまねやショートコントを披露して、笑いをとることに熱中していました。また、国語の授業で、先生に「久保田さんの朗読は感情が込もっていて、すごく伝わるものがありました。人前で話したり、読んだりすることに向いていると思います」とほめてもらえたのはうれしかったですね。宿泊行事で芝居をやったときも「おもしろい」と好評でした。ものまねや芝居などで「自分ではない何者かになる」という経験は、今やっているナレーションの仕事にもつながるものがあるように思います。また、ものまねやコントで言葉のラリーを楽しむことも、「言葉が来たら打ち返す」というアナウンサーの仕事につながっていると思います。

TOPIC-2

自分らしく居られる場所を求め留学を決意

高校時代にフランス留学されています。留学を思い立ったきっかけは何ですか。

久保田 学校生活は本当に楽しくて、毎日お腹を抱えて笑い転げていました。その一方で、しっかり友だちと向き合ってけんかをしたり、逆に熱く燃え上がったりすることがなかったんです。そのうち、心のどこかで「なぜ、みんなと同じでなければいけないの」といった疑問が積もっていきました。独りで街をさまよい歩くことが増えて、ある日突然、「ここは私のいる場所じゃない」と感じたのです。「みんなと一緒でなくてもいいところに、場所を変えたい」という思いから、留学を考え始めました。

なぜ、フランスを選んだのですか。

久保田 ロータリー財団の奨学金の試験を受けて留学が決まったとき、周囲の大人からは「英語を使えるようになるから、アメリカに行ったら」「ドイツに留学してとても良かったから、ドイツに行ったら」などと勧められました。でも、高校生になって自我が芽生えた私はそれに従わず、「せっかく行くなら、誰かに勧められたのではないところに行きたい」と思い、「すてきな国だから」とフランスを選んだのです。

不安はありませんでしたか。

久保田 フランス語を学んだ経験がないことよりも、1年間留学すると、日本に戻ったときに1つ下の学年に合流しなくてはならないのが不安でした。高校生の私には受け入れがたい話で、「行くのはやめようかな」とさえ考えました。すると、周りの大人みんなに全力で説得されたのです。「目の前に大きなチャンスがあって、あなたは今、人生が変わる節目にいるのよ」「同級生云々っていうのは、本当に小さなこと。同級生と後輩でお友だちは2倍になるし、フランスの友だちも含めたら3倍になる。それを忘れないで」と。そこまで言うのであればと、ようやく踏ん切りがつきました。

TOPIC-3

フランスで自ら行動することを学ぶ

留学生活はいかがでしたか。

久保田 初めの半年は、午前中は語学学校でフランス語を学び、午後は現地校で授業を受けるというスケジュールでした。最初は現地校の授業がまったくわからず、ただにこにこしているだけでしたね。語学学校には日本人もいましたが、お互いになるべく日本語を喋らないように申し合わせていました。しかし、当時はインターネットがまだ普及していなくて、日本とのやりとりはFAXかエアメール、声を聞きたくなったら国際電話という生活です。どうしてもつらい時には、その日本人の友人と「この時間だけね」と日本語を解禁していました。

フランスではどんなことを学びましたか。

久保田 フランスは個人主義が強い国なので、自分から動き、自分でチャンスをつかみに行かないと、何も進みません。日本の学校のように、黙っていても友だちができる環境ではないのです。ホストファミリーも「好きにやって」という感じです。そんななか、フランス語がつたない私が、学校でどうやったら友だちをつくれるのだろうかと考えました。そして思いついたのが、やっぱりものまねなんですね。クラスの誰もがわかる、テレビCMのものまねを披露したりしていました。ホストファミリーでも、なるべくお手伝いをして、少しでも会話が弾むよう、学校からの帰り道に「今日はこのことと、このことを話そう」と考えてから家に入るようにしていました。そうしているうちに、日常会話ができるようになり、友だちができていきました。

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