中学校からはじまる新科目の勉強法

　これからの時代、英語がますます重要になるということは、みなさんもよくわかっていると思います。大学入試では文系でも理系でも英語が重要になりますし、大学入学後にどんな勉強をするにしても、また将来どんな仕事についても、英語と関わらずに生きていくことはまずあり得ないでしょう。

　とはいえ、小学校で英語が好きだった人が、中学生になった途端に英語嫌いになってしまう、という話をよく聞きます。理由は簡単。小学校では英文を丸覚えすればよかったのに、中学では抽象的な学び方に変わってしまうからです。例えば過去形を使った表現は小学校でも学びますが、中学では過去の概念や文の語順（S＋V＋Oなど）といった英文法の要素が入ってきて、いきなりハードルが上がったように感じられるのです。

　では、英語に苦手意識を持たないようにするにはどうすればいいのでしょうか。これも簡単。自分の好きなことや興味のあるものと結びつければいいのです。基本的な例文を、自分の好きなものに置き換えて作ってみる。そうすれば無味乾燥な例文が、一気に身近に感じられるはずです。そして、インターネットなどを活用して好きな分野の英文を探してみましょう。スポーツが好きなら、そのスポーツに関する英語の放送を見たり、音楽が好きなら、英語の歌詞をながめながら歌を聴いたり。好きなことと英語を結びつけ、表現してみる。それが英語を好きになる第一歩です。

　ちなみに私の場合は、英文法を学ぶことで英語が好きになりました。「丸覚えしていた文章が、こういう仕組みを持って成り立っている」ことを知っておもしろくなったのです。これってスポーツやゲームと同じですよね。自分でやってみて、そこそこできるようになったところでルールブックや攻略法を読むと、そのスポーツやゲームをより深く理解できる。英語の場合もたくさんの英語に触れれば、英文法がより理解しやすくなりますし、英文法を理解できれば英語力のレベルアップにつながります。まずは多くの英語に触れることから始めましょう。

　そこで活用していただきたいのが、ラジオ講座「NHK基礎英語」です。英語は「読む」「書く」「聴く」「話す」の4技能をバランスよく身につけることが大切で、その中でも「聞く力」がすべての基礎。音から入る基礎英語は、英語の入り口として最適です。また「多くの英語に触れることが大切」と言いましたが、学校の授業だけでは、英語のinputが圧倒的に足りません。基礎英語はそれを補ってくれるだけでなく、ネイティブスピーカーの英語に触れられる場でもあります。英語の授業のなかで基礎英語を使う中学校もたくさんあるくらい、優れた英語学習のための教材なんです。

　基礎英語は中学校の学習指導要領に則って作られていますから、学校の勉強と併行して勉強することができます。一方、1年間を通して1つの大きなストーリーが展開されていくのは教科書と違うところ。1回15分、1日に3回放送がありますので、ぜひ「基礎英語を聞く」を自分の生活に組み入れ習慣化してください。もし聴き忘れても、1週間以内ならインターネットを使ったストリーミング放送で同じ番組を繰り返し聴くことができます。また放送内容の重要部分が入ったCD付きテキストも販売されていますし、無料アプリをダウンロードして聴くこともできますから、自分に合う方法を見つけましょう。さらに登場人物の中からお気に入りを見つければ、「次にどうなっていくんだろう」と興味深く聴き続けられますよ。

　1日15分の勉強で済む基礎英語ですが、最も大切なのは続けることです。1年聞き続ければ、必ず英語の力を伸ばせるはず。その証拠に、基礎英語には多くのリスナーから「聞く力がついた」「聞き取りで困ったことがない」といった声が寄せられています。また3年間聞き続ければ、英検^Ⓡ準2級、2級レベルの力がつくこともお伝えしておきましょう。もちろんそのときには、しっかりとした英語力が身についているはずで、その後の英語学習におけるアドバンテージになるに違いありません。

　基礎英語を使って効果的に学習するには、まずはテキストを見ながら番組を聴き、内容を理解することです。1回の番組に必ず1つ重要な例文が出てきますから、体になじむまで何度も繰り返しましょう。また重要例文を使った練習では、番組で挙げられている例文だけでなく、自分の好きなことやものに置き換えた文章を作ってみてください。家族や友だちと、それぞれが自分で作った例文を口に出し合うのもいいですね。

　ただ、無理は禁物です。１度でも聴かなくなると、そのまま聴かなくなってしまうもの。テキストの絵やストーリーを追うだけ、という日があってもかまいませんし、好きなことと結びつけながら“半分趣味、半分勉強”くらいの気持ちの方が続けやすいかもしれません。また、基礎英語は大人の学び直しにもぴったりですから、家族の人と一緒に始めるのもお勧めです。ぜひ親子で、英語の世界を楽しんでいただきたいですね。

　なお2021年度からは、中学校で新学習指導要領に基づいた授業が行われるようになり、それにあわせて基礎英語も大きく進化する予定です。ご期待ください。

※英検^Ⓡは、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。