第2部 パネルディスカッション
「ニューノーマル時代の学びを創る 名門校の伝統と挑戦」

本日のテーマ

髙宮 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、2月27日に安倍前総理から全国の小中高校に臨時休業要請があり、4月7日には緊急事態宣言が出されました。学校現場がたいへん混乱し、難しい判断を迫られたことは想像に難くありません。ウイルスによる影響が完全に排除されるには時間がかかりそうな状況を踏まえ、第2部ではこれからの新しい時代の学びについて先生方にお聞きしていきます。

 

1.変わる母校 変わらぬ母校

髙宮 五つのテーマを用意しました。最初のテーマは、「変わる母校 変わらぬ母校」です。今回ご登壇いただいた3人の先生方は、それぞれ各校の卒業生です。あらためて、自己紹介も兼ねて、変わらない母校の良さ、そして変わりつつある母校の魅力についてお話ししていただければと思います。

 私は麻布高等学校を卒業し、東京大学工学部で応用化学を学んでから教育学部に学士入学しました。工学部では野水先生の6年後輩、教育学部では杉山先生の3年後輩にあたります。麻布の教員として28年勤め、校長になって8年目になります。生徒としての6年を含めると、これまでの人生の7割を麻布で過ごしていることになります。麻布の、今も変わらない良いところは、生徒と教員の距離が非常に近いことです。ロの字型の校舎の一つを教員室が占めており、生徒が教員室の中を通路代わりに通ってしまいます。ですから教員がどんな弁当を食べているかまで生徒は知っていますし(笑)、生徒が教員室によく遊びにきます。変わりつつあることとしては、かつて男性ばかりだった教員に女性が増えてきたこと。92名の専任教員のうち、現在、女性は12名。そうしたところに時代の移り変わりを感じます。

野水 名古屋大学で35年ほど教員を務め、4月に校長となりました。開成に在校していたのは50年近く前になりますが、戻ってきてまず感じたのは、生徒が自主的に、本当に伸び伸びと活動していることです。運動会や生徒会活動なども自分たちが主体となり、教員はほとんど口を出さない。そこはまったく変わっていません。大きく変わったと感じる部分は、英語教育ですね。私が学んでいたころは英文を読んで訳すことが中心で、外国人の先生など1人もいませんでした。いまの開成の英語教育はとても充実していて、ネイティブの教員も常勤と非常勤で7人ほどいます。高校を卒業してすぐに海外の大学に進学するためには相当レベルの高い英語力が必要で、TOEFL-iBT100レベルでないとイエール大学やハーバード大学レベルにはまず入れません。普通なら、そのレベルに達するのは帰国子女じゃないと難しいのですが、最近は、開成の英語教育だけでiBT100近くに達している生徒が何人も出てきて、そういう生徒が海外の大学を目指しています。これにはたいへん驚きました。

杉山 私は43年ぶりに母校に戻ったのですが、変わらないなという思いのほうが強かったですね。自由で伸びやかな雰囲気で、生徒同士が話しているのを聞いていても、少し背伸びをしている感じが昔と変わらない。講演でもお話したように、武蔵の特徴を分析すると、「自然環境」「アカデミズム」「距離感の近さ」の三つがあります。先生と生徒の関係が近く、私のことを普通に「杉山さん」と呼ぶ生徒もいます。変わったなと思うことは、記念祭では昔は女子高校生の姿がたくさん見られたのですが、今は小学生と保護者の方が多いことでしょうか(笑)。体育祭も、以前は生徒の保護者の姿を見ることはなかったのですが、最近は多数の方がいらっしゃいます。ありがたいなと思うと同時に、時代が変わったなあとも感じます。

 

2.コロナ禍が浮き彫りにした3校の個性

髙宮 新型コロナウイルス感染症の影響により、長期間にわたって対面授業ができないという、まさに非常事態のなか、この休校期間をどのように捉えて行動されたのか、お聞かせください。

野水 2月末の休校要請を受け、3月は休校になりました。4月以降の新学期については、前任の柳沢校長が非常に先見性があり、遠隔授業の実施は避けられないとして、具体的にどう実施するか、3月中旬にプロジェクトチームを作って検討を依頼しました。教材をウェブサイトにアップして生徒がダウンロードする、授業を記録してビデオ授業として発信する、Zoomを利用して双方向のオンライン授業を行う、という3段階の提案がチームからありました。4月に私が就任した後は、まず入学式や卒業式はウェブで対応することとして、中間試験も予定どおり行うという前提ですぐに遠隔授業を進めてほしいと先生たちにお願いしました。結局、5月中旬の中間試験までは対面授業ができない状況で、すべて遠隔対応になりましたが、課題を提出させるなどして、予定していた科目はすべて中間試験を実施しました。6月からは、実技科目を中心に対面授業を始めました。

髙宮 あの非常事態宣言のなかで中間試験を実施した学校は珍しいのではないでしょうか。

杉山 このコロナ禍、本当に大変でした。武蔵の先生方、生徒たち、よくがんばったと思います。本校では、休校要請を受けて休校に入り、3月下旬になって、しばらくは登校は厳しそうだということで、オンライン授業の準備を始めました。各教科のICT委員の教員が中心となって、4月にまず課題を配信するかたちでの学びのプラットフォームを作り、5月の連休明けからは全科目、全学年で遠隔授業をスタートさせました。当初はオンデマンド授業で、発信した課題や録画を見て勉強するかたちで、5月後半からはオンラインでリアルタイムの授業も始めました。1人1台タブレットを持たせていたわけではないので大変な部分もあったのですが、各家庭のネット環境も探りながら問題点を一つずつ克服し、最後は100%の環境を作りました。6月からは分散登校を始め、対面とリモートの両方を交ぜながら次第にレベルを上げていき、6月下旬にはまず高3を、7月からは全学年で対面授業に切り替えました。

 2月に出された休校要請は衝撃でした。3学期は残り2日の通常授業と、1週間の期末試験があるだけだったので、なんとか乗り越えられるのではないかとも思いました。私立ですから、休む休まないの決定は学校長に権限があるため1日悩んだのですが、感染の可能性もありますし、学校には行かせたくないというご家庭もあるだろうと思い、休校要請に応じようと決めました。ただ3月5日の卒業式は何としてでも実施したいということで、生徒を分散し、教職員と生徒だけの簡素な卒業式を行いました。その後は、4月の半ば過ぎまで、郵送あるいは一部オンライン授業を行いました。緊急事態が延びたので、5月の連休明けからは、ここからが新年度と切り替え、その学年で履修すべき内容を1年間かけて終わらせることを至上命題にして、オンラインと郵送で進めました。6月に入ってからは、中1から高3まで曜日を決めて、8月8日の1学期の終わりまで、1学年ずつ登校するかたちをとりました。9月2日からやっと通常授業に戻ったので、遅れた分を取り返していきたいと考えています。

髙宮 行事への対応、実施予定について教えてください。

杉山 三大行事の一つに、4月の記念祭があります。生徒たちは1年間かけて周到な準備をするのですが、今年は、3月の段階で、4月の実施は困難と判断し、6月に延期をすると生徒がアナウンスをしました。緊急事態宣言が長引くなかで6月も難しいとなり、今年はやむなく中止となりました。休校期間中も実行委員長を中心にZoom会議を何度も行い、なんとか開催できないかと模索。本当に涙ぐましい努力を続けていましたが、最後は中止の決断となり、実行委員長は「皆さん、ごめんなさい」とメッセージを出しました。謝ることじゃないんです。開催へ向けての努力を知っているだけに、そのメッセージには胸が打たれました。

 麻布も、毎年5月の初めに文化祭を、そして10月の初めに運動会をやるのですが、文化祭は6月中旬への延期決定後、さらに日時未定の延期になりました。そして、文化祭担当の先生と生徒との話し合いの結果、もし2学期に通常授業が再開されるのであれば文化祭は実施しようということになりました。そして、さらに話し合いを重ね、今年度は10月31日、11月1日の2日間にわたって開催することになりました。運動会についても、11月半ばの実施を模索するという方向で進めています。開催決定を聞くと、生徒たちの目がぱっと輝きました。私も生徒から長い手紙をもらうなど、彼らの苦衷を知っていたので、生徒と教職員の協力で、いい文化祭、運動会にしたいと思っています。

野水 開成の運動会は例年5月の2週目に行うのですが、体をぶつけあう団体競技が多いので、1カ月近くしっかり練習をしないと、当日けが人を多く出す危険性があります。このため、開催については慎重に議論しました。生徒たちは、前年の運動会が終わった直後から翌年の運動会まで1年をかけて議論しながら作り上げていくので、彼らには、簡単に中止なんて決められたらたまったものではないという思いがありました。そうしたなか、いったん6月に延期したのですが、それも難しいとなり、7月や秋開催を含め、特に準備の中心となる高3の各クラスで議論してもらったのですが、感染の収束が見えないこともあって意見がまとまりませんでした。結局、各クラスの組責任者と学年の先生方が話し合って、中止やむなしという提案となり、全学年の教員との議論の中で判断を下しました。せっかくだから、1年をかけて準備してきたものは残そうということで、各組で作るパンフレットはそのまま作り、アーチや、応援のエールの歌なども披露する場を用意して、生徒たちの準備に応えたいと考えているところです。

髙宮 皆さんの苦渋の決断をお聞きして、あらためて生徒への思いや愛情を感じます。さて、今回、多くの学校がICT教育に取り組みした。ICT教育ならではの利点がある一方、生徒と対面しないとできないこともあるのではないかと思います。対面教育の意義、そしてICT教育の可能性についてお聞きしたいと思います。

 オンライン授業は、目の前に生徒がいないので反応がわからないところが非常に困ったと教員たちは話しています。自分の中学・高校時代を振り返ってみると、授業の内容よりもむしろ、先生が脱線して雑談をしてくれたり、先生の思いや考えを吐露してくれたりした内容のほうが心に残っています。勉強はやろうと思えば独りでもできますが、人と人が集うことにこそ本当の学校の意味があるのではと思います。人と人とが同じ空間に集まることができず、交流が絶たれたことは、生徒にとっても、学校にとっても大きなダメージでした。一方で、ICT教育を通じて、授業の演出、話し方、生徒のキャッチの仕方など、授業に対する見方が変わった部分もありました。これからは、ICTも活用した立体的な対面授業ができればと思っています。

野水 6月に分散登校が可能になった時期に、どういう授業にするかを先生方の間で話をして、まずはクラスメートと顔を合わせるホームルームを優先し、実技の授業を中心とすることを決めました。6月下旬に、全面的に対面授業に切り替えてはという話が出てきたときに、教員の間では、期末考査までは遠隔のままでという意見と、できるだけ早く対面を始めたいという意見に分かれました。結局、6月の最終週から一部を除いて対面授業となりましたが、人と人が触れ合うことの重要性をとても感じましたね。部活動を解禁すると生徒たちの顔が生き生きとしてくるんです。中学や高校での生活は授業だけではなく、そうした課外活動も大事です。そういう意味でも、対面授業の意味や役割をあらためて認識しました。

杉山 オンライン、遠隔授業の良いところもあります。一方で、2カ月学校を閉じて対面授業を始めたときに、やはり対面の良さを痛感しました。3密はいけないということになっていますが、3密こそが教育の根幹なんですね。「密閉」はともかく、「密集」「密接」が教育にとって大切なんだとあらためて思いました。学校を閉じるより、学校を開くほうが大変です。いろいろな対応を考えなければなりません。しかし、われわれは十分な感染予防対策をとりながら、武蔵の本来の学びを取り戻そうと進めました。同時に、今回の件でICTが一気に加速したのも事実で、さまざまなツールを使って課題を配信する、会議をすることも当たり前になりました。生徒は対応が早く、生徒総会の選挙も、今年は紙ではなく、ネット投票をするようです。今後、3密の良さとデジタルをどう融合していくかが重要な課題になると思います。

 

3.英語4技能と国際教育 ~高大接続改革を超えて~

髙宮 三つめのテーマに入りたいと思います。現在の高3生は高大接続改革の、いわば1期生なのですが、改革の議論にすっかり振り回されてしまいました。例えば、新テストにおいて英語4技能試験を活用する予定でしたが、昨年11月に延期されました。このようにいろいろ混乱はありましたが、大学入試がどうあろうと、英語4技能、そしてグローバル教育が重要であることには変わりはないと思いますが、いかがでしょうか。

野水 繰り返しになりますが、開成に来て、英語教育の充実ぶりには驚きました。私は名古屋大学での後半の25年ぐらいは国際交流や留学生交流に携わっていました。海外の国々がどんどん国際化が進むのに比べて、日本も努力はしているのですが、スピードが遅く、学生が海外に留学したがりません。文部科学省も、2013年に留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」を開始したのですが、短期の語学留学は増えたものの長期留学は微増です。こうした状況を考えると、日本全体が英語力のベースアップをする必要性を強く感じます。私が開成に呼ばれた理由の一つには、国際交流や留学生交流に携わっていたキャリアと、こうした国内の状況があったのかとも思います。民間試験が延期になりましたが、英語力の向上は必須です。開成も中3でのGTEC、高1でのケンブリッジ英検を全員が受けることにしており、それによって生徒たちの英語学習のモチベーションが上がりました。

杉山 英語4技能と国際教育というテーマは、世界と渡り合っていくトップエリートをどう育てていくのかという趣旨だと思いますが、そうした視点であれば、私としてはやはり「東西文化の融合」「世界に雄飛」「自調自考」という武蔵の3理想の先見性を感じます。世界と渡り合い国際的に活躍するためには、批判的思考力・発信力が必要だと思いますし、当然ながら英語力は必須です。自調自考はすべての基盤になりますし、現在の世界の情勢を見たとき、日本人が果たす役割の可能性を考えると、東西文化の融合という視点も重要だと思います。そうしたトップエリートを育てるために、生徒たちが自分の狭い世界から外に飛び出していく、その背中を押していきたいと考えています。

 英語4技能が、大学入試改革や高大接続でクローズアップされ、センター試験に代わる共通テストで民間業者のテストを受けるということでしたが、少し拙速だった感が拭えません。今年度から小学校での英語教育が必修になりましたが、英語教育の技能を持っていない先生がどのような教育をするのかも、疑問が残ります。ただ、4技能自体はとても大切です。大学入試で課すのであれば、国公立であれば二次試験、私学であれば自身の見識で出題するのがよいのではないかと思います。また、求められるレベルは、日常的な会話ができればいいというレベルではないはずで、「語るべきものを持っているか」が問われます。英語は手段なので、自身のバックボーンとなる知識や教養も、英語力と同時に鍛えていかなければならないように思います。

 

4.次代を切り拓く卒業生たち

髙宮 これまで3校は、政財界、法曹、医学、さまざまな分野で活躍する人材を輩出されてきました。大学のトップの方にインタビューする機会があるのですが、3校のご出身の方が非常に多い印象があります。卒業生のご活躍をご紹介ください。

杉山 大学関係で言えば、東京大学の五神真総長は武蔵で私の同級生ですし、早稲田大学の田中愛治総長は先輩です。文部科学大臣経験者では、武蔵学園の有馬朗人学園長は武蔵出身の元東大総長、少し前の文部科学大臣だった柴山昌彦さんも武蔵出身です。さらに言うと、東京工業大学の前学長の三島良直さんは、先ほどのテーマの高大接続改革をこれからどうしようかという大学入試の在り方に関する検討会議の座長を務められており、現在は日本医療研究開発機構の理事長です。大阪大学でワクチンを開発している森下竜一教授も武蔵出身です。比較的、大学関係者が多いのは、自調自考でさまざまな研究の道に進んでいくということなのかなと思います。

 東京医科歯科大学学長の田中雄二郎先生、順天堂大学学長の新井一先生など学術・医療関係者も多いのですが、本校の特徴としては本当に幅広い分野で卒業生が活躍していることかと思います。首相経験者では橋本龍太郎さんや福田康夫さん。元官僚では古賀茂明さん、前川喜平さんなど、安倍前総理に弓を引いた方もいらっしゃいます(笑)。音楽関係ではジャズピアニストの山下洋輔さん、日本テレビアナウンサーの桝太一さんなどクリエイティブ分野で活躍している方も多く、ナゾトキで話題の松丸亮吾くんもそうです。今年の学園説明会はオンラインで行いますが、そこでも多彩な卒業生にコメントを頂いているので、ぜひホームページをご覧いただければと思います。

野水 校長になって間もないため、卒業生のデータベースが頭に入っていないのですが、いろいろな分野で活躍されています。千葉大学の徳久剛史学長などアカデミックの世界で活躍されている方ももちろんたくさんいますが、クイズ王の井沢拓司さん、メディア関係によく取り上げられている落合陽一さんなど多彩です。今の開成の生徒たちを見ていても、卒業後もいろいろな分野で活躍してくれるのだろうなと思います。そうしたOBの経験を、生徒が自分のキャリア、進路を考えるときに役立ててほしいということで、卒業生に来ていただいて講演会なども開いています。

髙宮 ある経済誌にベンチャー企業を立ち上げた起業家の出身高校別の数字が掲載されており、開成がトップでした。周りにそうした志を持つ人がいる、あるいは先輩からのアドバイスを含め情報が集まる、もしかすると先輩のサポートもあるかもしれない。開成に限らずこの3校ならではの魅力を垣間見た気がします。

 

5.どう創る? ポストコロナの学び

髙宮 それでは、最後にパネルのまとめとして、「これからの学び」をテーマに、今お感じになられていることをお聞かせください。

 ポストコロナの学びということですが、感染症に限らず、いろいろな災害が全国で起きています。東日本大震災の際には、400人近くの生徒が帰れず、学校で一夜を明かしました。多くの生徒の命と安全を預かるのが学校なので、校長として危機管理をしっかりしないといけないと考えています。また、今は新型コロナウイルスで世界中が大騒ぎですが、感染症ではインフルエンザで毎年、日本だけで1200万人が罹患して、3000人が亡くなっています。かつて国民病といわれた結核は今でも怖い感染症で、毎年2万人近くの方が発症し、2000人ぐらいの方が亡くなっています。ただ、人類は結核やペストやコレラ、あるいは天然痘といった恐ろしい感染症を、特効薬やワクチンを開発してほぼ制圧してきました。多くの方が亡くなり、それに心を痛めた人々が、医療あるいは科学、行政の力を結集して、そうした感染症に打ち勝ってきた歴史があるわけです。麻布の卒業生に限りませんが、今回のような大きな試練を経験した人類は、しっかり勉強して、勉強した結果を人類、社会に役立てる、ぜひそうした志を持ってほしいと思います。

野水 新型コロナの影響で、私が大学で関わってきた国際交流、留学生交流が大打撃を受け、ほとんどのプログラムが止まってしまいました。しかし、グローバル化の流れ、それに伴う英語力強化の必要性は、今後ますます高まることは間違いありません。ワクチンが開発されて自由に動けるようになれば、若い世代には、気を取り直してまた積極的に海外に出ることを目指してほしいと思います。海外に出ると、さまざまな壁にぶつかります。しかし、苦労しながらそれらの困難を克服すること、多様性を理解して考えるようになることで、人は必ず成長します。ぜひそうした学ぶ意欲を持つことと、関係者の方々はそうした機会を増やしてあげてほしいと思います。世界でも自国優先の思考が蔓延しています。これからどういう世界を創るのか、そういうことを個々でぜひ考えてほしいと思います。

杉山 新型コロナだけでなく、これからも自然災害の発生など思わぬ事態が起こり得ます。危機管理の意識を持つことは非常に大事だと思います。先が不透明な時代で何が起こるかわかりません。危機を想定しながら管理をしつつも、その都度自ら調べ自ら考える力を、しっかり身につけさせる必要があることを肝に銘じて対応しているつもりです。いま野水先生が話された、壁にぶつかるということに関連づけて言えば、危機を恐れるあまり、リスクをとらないのは寂しく感じます。チャレンジして壁にぶつかり、それを乗り越えていくことで、折れない心や回復力を身につけることができます。リスクを恐れず、どんどんチャレンジしてもらいたい。そのために我々も、生徒たちが「安心して失敗できる」環境を学校として用意し続けることが大事ではないかと考えています。

髙宮 先生方には、この後のトークセッションでも引き続きお話をお伺いします。ありがとうございました。

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