早稲田実業学校の教育の特色

早稲田実業学校教頭 橋詰敏長氏

早稲田実業学校の教育の特色

男女共学化に伴って校内が活性化

早稲田実業学校教頭 橋詰敏長氏1

 2001年に迎えた創立100周年を契機に、大幅な改革を実施しました。2001年に校舎を鶴巻町から国分寺市に移転し、広大でゆったりした教育環境を実現。2002年からは男女共学校になりました。

 現在、男子2:女子1の比率になっています。将来的に女子を増やす構想はあるのかと聞かれることも多いのですが、その予定はありません。というのも、現行の比率でも十分に女子のパフォーマンスが発揮されているからです。女子生徒は元気にあふれ、成績も優秀です。文化祭でも、男子校時代には、数日で作品を作る突貫工事的なスタイルでしたが、今では準備に10カ月近くをかけることもあります。その計画を立てるのは女子であることが多く、リーダーとして活躍しています。それによって、明るく活気ある学校生活を実現しており、共学化の意義は大きかったと考えています。

早稲田大学への推薦者全員に校長面接を実施

早稲田実業学校教頭 橋詰敏長氏2

 早稲田大学への推薦枠は480名になっています。けれども、本校では、その枠を機械的に埋めることはしない方針を貫いています。高等部3年間の学業成績、学校生活の様子、各自の努力の過程をしっかり見据え、総合的に判断した上で推薦しています。

 また、推薦に送り出すために、全員に「校長面接」を実施しています。その際、校是の去華就実(華やかなものを去り、実に就く)、校訓の三敬主義(他を敬し、己を敬し、事物を敬す)が自分にとってどのような意味を持っているのか、作文を書かせています。それを読むと、この言葉の意味を自分なりに具体化させて理解している生徒が多いことが分かり、感動します。数年前から、式典などで校長がよく用いる言葉が「愚直」。気取ることなく、一途に一生懸命努力するという意味です。そういう精神が生徒たちに根づいていることが、本校の特色だと考えています。

クラブ活動は活発だが、しっかり勉強することが大前提

早稲田実業学校教頭 橋詰敏長氏3

 カリキュラムは前期・後期の2期制で、週6日制を採用。5教科は学習指導要領よりも多めの授業時間数を配当しています。中学から高校に入学する段階で、一定のハードルを設けており、それをクリアしないと他校に移ることになります。その判定会議は3月ですが、直前では対応できないでしょうから、基準を満たさない可能性がある生徒には12月に通達することになっています。

 なお、週6日制のうち、水曜日と土曜日は4時限までにして、クラブ活動を奨励しています。実際、クラブ活動は活発で、中学生はほぼ全員入部しています(高校は95%)。それによって、生徒はクラス、クラブの2つの居場所を持つことができるわけです。野球部をはじめとして強豪クラブも少なくありません。ただし、勉強あってのクラブ活動であるという姿勢は厳に守っています。かの齋藤佑樹選手も、甲子園で優勝したから早稲田大学に進学できたわけではありません。まず成績ありきという方針は徹底しています。