WILLナビ:よみうりGENKI 次代を担う人材を育てる中高一貫校特集
次代のリーダーに求められる力とは
─私立 中高一貫校がいま、考えていること─
  1. 「英語力・ICT活用力・プレゼンテーション力」は
    現代の「読み・書き・そろばん」である
  2. イノベーションは開かれた多様性から生まれる
    だから海外とも地方とも積極的に交流させる
  3. 帰ればいつだってあの先生がいる
    学校選びは“ふるさと選び”
「英語力・ICT活用力・プレゼンテーション力」は
現代の「読み・書き・そろばん」である

 本校はミッションスクールとして心の教育を重視する一方、現代の教育の基本として「英語力・プレゼンテーション力・ICT活用力」の育成に力を入れています。今の日本の子どもたちは将来、東南アジアの国々の人と競争をしていかなくてはなりません。日本ではスマートフォンなどのICTを教育に持ち込むべきか否かが議論されますが、東南アジアの国々ではインフラ整備の必要がない便利なものがあれば使うのが当然であり、それによって学生たちは日常的に世界の最先端の知に触れています。また、東南アジアでは植民地から解放された後に教育が近代化したため、大学の授業は英語が当たり前です。こうした日本とは全く異なる環境で育った優秀な人たちと競っていかなければなりません。そのときに必要なのがこの三つの力なのです。

ヒップホップ・ダンス

 プレゼンテーション力とは自己表現力です。中1の国語には「群読」という集団で詩や古典を読む授業ありますが、ただ読むだけでなく、演劇的手法を学んで作品が語るものを肉体で表現します。中2では楽器や陶芸、木工、演劇などを専門家から学ぶ「選択芸術講座」があります。また、中3と高1の体育の授業ではヒップホップ・ダンスを行いますが、これらもすべて自己表現です。
 高2になると、自己表現を英語でできるようにします。そのために英語の授業以外に、中2からマンツーマンのオンライン英会話を行っています。習うだけでなく英語を使う機会も多く設けています。アメリカ研修ではシリコンバレーに行って英語でプレゼンテーションを行いますし、2017年から指定されたSSH(スーパーサイエンスハイスクール)においても、大学が主催する国際学会などで高校の生徒が英語で発表をしています。また、SSHでは昨年から新たに、中3で「探究基礎」という時間を設置しました。ここではプログラミングや英語論文、クリティカルシンキングを学びます。大学院生がサポートしていますが、時間外でも知りたいことがあれば、彼らとSkypeなどのオンライン通話サービスで話すことができます。東南アジアの国々ともSkypeやGoogleハングアウトで交流しています。本校では全員が情報端末を持って学習していますが、授業だけでなく、そういう活用をすることも大事です。

イノベーションは開かれた多様性から生まれる
だから海外とも地方とも積極的に交流させる
English Campの様子。
女子校も交え、アメリカのトップ
大学に通う大学生とディスカションする

 私は校長に就任して今年で15年目を迎えます。着任してすぐに「開かれた学校づくり」に取り組みました。学校内だけでなく、さまざまな世界の人と交流する機会を持つことが必要だと考えたからです。そこで始めたのが「選択芸術講座」であり、教員や外部講師が多様なテーマで講座を開く「聖光塾」です。どんなことでも良いことは取り入れて、チャレンジしたいと思っています。そして子どもたちにもチャレンジしてほしいと願っています。
 彼らの発想は柔軟性に富んでいます。たとえば、生徒たちが企画・運営した小学生対象の「サマースクール」や、起業プランを発表して企業の方に審査していただく「イノベーションカップ」は大成功でした。大切なのは彼らの発想を受け入れて一緒に考えていくことです。ですから今は、「開かれた学校づくり」から「学校に縛り付けない教育」という方針に変えました。

 日本では今、システムを創り上げる発想力が求められています。社会で急成長を遂げている企業の多くはシステムの力で発展しています。一見、関係ないものに見えるものを結び付けて一つのシステムに構築する。こうした力をつけるには、中高時代にいろいろなものに触れ、体験することが重要です。だからこそ、「学校に縛り付けない教育」が求められるのです。

 本校にはさまざまな海外研修制度がありますが、これからは海外だけでなく、国内の地方にも行かせようと考えています。地方の町に輝いているところがあり、学ぶべきことがたくさんあるからです。シリコンバレーの研修に行ったとき、熊本の人吉高校の生徒さんたちと知り合ったことが縁で、さっそく7月に人吉に行って来ました。中3では全国各地でさまざまな体験をする「社会科総合演習」という授業がありますが、その中でも徳島県の中高一貫校と交流することが決まっています。そういう形で地方との交流も始めています。

帰ればいつだってあの先生がいる
学校選びは“ふるさと選び”
斑尾高原キャンプ場にて

 私は中学入試の学校選びは、都市生活者にとっての“ふるさと選び”だと思っています。私学は教員の転勤が少ないので、卒業しても学校に来ればかつて教わった先生方がたくさんいます。その意味で、帰ることができる場所なのです。学校としても、卒業した生徒が子どもを連れて来てくれたりするとうれしいものです。いわば、マイホームタウンです。そういう視点で学校を見てみると、ずいぶんと違ってくるのではないでしょうか。どうぞ、何年たっても戻りたくなる、そんな“ふるさとになる学校”を選んでいただきたいと思います。
 そして受験生の皆さん、勉強してもなかなか成果が出ないと悩んでいる人もいるかもしれませんが、報われるまでには時間が必要です。熟成期間があれば、必ず力が出てきます。つまり、努力は必ず報われるのです。今やったことを信じて、努力を積み重ねていってください。

これからの時代に求められる人材像─中高一貫校で育む力─ 聖光学院中学校・高等学校 校長 工藤 誠一 先生 女子学院中学校・高等学校 院長 鵜﨑 創 先生 早稲田実業学校 学校長 村上 公一 先生