WILLナビ:よみうりGENKI 次代を担う人材を育てる中高一貫校特集
次代のリーダーに求められる力とは
─私立 中高一貫校がいま、考えていること─
  1. 誰もが尊重されるからこそ
    活発な議論やチャレンジが生まれる
  2. 生徒が主体的に世界とつながる
    それが本校のグローバル教育
  3. 人生の岐路で指針となる価値観は
    中高時代に育まれる
誰もが尊重されるからこそ
活発な議論やチャレンジが生まれる
「オリエンテーション・キャンプ」では、
与えられたテーマについて、クラスごとに議論する

 本校の生徒たちは非常に好奇心が旺盛です。中学では、その生徒たちの興味・関心の方向性をできるだけ広げてあげることが大切です。それが高校での学びのモチベーションにつながります。とはいえ興味あることだけを追い掛けていたのでは偏りが出ます。将来のために今学んでおかなくてはならないことはたくさんあります。それをきちんと身につけられるよう、ここまでは確実に身につけてほしいというラインを設定して補習や小テストを繰り返し行っています。中学の段階で取りこぼしてしまうと進みたい道に進めなくなってしまいますから、そこはきめ細かくフォローしています。
 授業は実験や実習、体験が多いのが特長です。話し合いを重ねて考えさせる機会も数多くあります。授業ではいつも活発な議論が行われます。「人と違う意見は言いにくい」とか「こんなことを言ったら恥ずかしい」といった雰囲気はありません。キリスト教の教えでは一人ひとりが神様に愛されている存在であり、友だちも自分同様に大切な存在です。ですから友だちが自分とは違う意見をもっていても、尊重して受け止めるという姿勢があります。
 中1の6月に行われる「オリエンテーション・キャンプ」では、テーマを決めて話し合う時間がありますが、そのころにはもうそうした姿勢が芽生えています。「どんな意見でも言っていいのだ」「否定されないのだ」「自分も一歩踏み出してみよう」と。それが授業や行事、さまざまな活動に連動し、新しいことをしていこうという活力にもつながります。

生徒が主体的に世界とつながる
それが本校のグローバル教育
外部講師を招いて行われた
アジア・アフリカ研究会の勉強会の様子

 本校は日本で最も古いキリスト教系女子校の一つです。アメリカの宣教師が日本にアメリカの文化を伝えようとしたところから始まっています。したがって、グローバル教育とはいわないまでも、昔から世界に目を向けてなすべきことを考える教育を行ってきたわけです。たとえば、本校には海外から現地の生の声を届けてもらう様々なプログラムがあります。ケニアのスラムで子どもたちの教育に関わっている方や、日本キリスト教海外医療協力会(JOCS)のワーカーの方に講演していただいたり、生徒会の宗教委員を中心に有志がアジア・アフリカの人たちを支援するための勉強会や講演会を開いたり。こうした講演の後、生徒はレポートにまとめ、考えを発表し、みんなで議論しています。東南アジアの子どもたちの教育費用を担うための献金などの社会貢献活動もたくさんあります。学校のお仕着せではなく、生徒が主体的に世界とつながっていくのが、本校らしさだと思います。
 英語教育にも昔から力を入れています。早くから中1ではオール・イングリッシュの授業を行っています。レポート作成もプレゼンテーションも、得意な生徒が苦手な生徒を助けながら行っています。助け合いや共同作業を学ぶことができるのもオール・イングリッシュ授業の一つの良さです。また中1から中3までは「All About Me」という、自分自身のことを書き留めるノートを使っています。ここには自己紹介文や与えられたテーマについての作文などを書きます。そのほかリーディングマラソン(多読)、詩や物語の暗唱コンテストなども行っています。このようにさまざまなものを取り入れて楽しく、そして新しい言語を使える喜びを感じさせながら、中3までに英語のディベートができることを目標に指導しています。
 2020年度から始まる大学入試改革への対応としては、英語の外部試験対策にGTECを取り入れ、早い段階からしっかり準備をしています。新しい入試制度で必要になる「e-ポートフォリオ」についても、すでに高1から準備を始めています。そもそも作文やレポート作成など、書くことは日常的に行っています。中3では自分自身の記録も書いており、それを高1になったら電子化するというわけです。    

人生の岐路で指針となる価値観は
中高時代に育まれる

 長い人生のなかで悩んだとき、決断に迷ったとき、立ち戻るのは中学・高校時代です。大学以降は、どうしても利害関係を考慮せざるを得なくなってきます。自分は何を正しいことだと教えられてきたのか、純粋に心に問う、最後の拠り所は中高の教育にあるのではないでしょうか。その大事な中高時代をどこで過ごすかは大きな選択です。女子学院のこの雰囲気も選択肢の一つだと思います。社会がどう変わろうと守り続けてきた教育。歴史がどう動いても選ばれてきた教育。おそらく将来も必要とされる教育がここにはあります。
 中高時代は生徒たちにとって変化の時期です。女子学院の特別な環境で6年間を過ごすからこそ、芽生えてくるものがたくさんあります。自分を自由に表現することができる、この守られた環境で、ぜひ多くのものを〝発芽〟させてほしいと願っています。保護者の方はどうぞ、今見えているものだけで判断せず、これから出てくる新しい芽に期待して、希望を持って入学させていただきたいと思います。わたしたちもそれを大切に育てていきたいと思っています。

これからの時代に求められる人材像─中高一貫校で育む力─ 聖光学院中学校・高等学校 校長 工藤 誠一 先生 女子学院中学校・高等学校 院長 鵜﨑 創 先生 早稲田実業学校 学校長 村上 公一 先生