WILLナビ:よみうりGENKI 次代を担う人材を育てる中高一貫校特集
次代のリーダーに求められる力とは
─私立 中高一貫校がいま、考えていること─
  1. 早稲田の多様性の象徴
    男子を凌駕する女子の活気
  2. 受験のための先取りではなく
    高度な学びへの先取りを
  3. 大学入学はスタートラインにすぎない
    「たくましさ」を身につけ、次代を切り拓いてほしい
早稲田の多様性の象徴
男子を凌駕する女子の活気

 早稲田実業の生徒は元気がよく、学業でも部活動でも生き生きと取り組んでいます。男子がもちろんですが、特に女子は生徒数が全体の3分の1であるにもかかわらず、男女同数に見えるくらいに活発で伸び伸びとしています。男子に比べて中学・高校から早稲田大学に行くルートは少なく、競争も厳しいため、それだけ「早稲田に行きたい」という強い思いがある子たちが集まっているからだと思います。

大学受験にとらわれることなく、
学びを深めることができる

 早稲田には7つの附属・系属校がありますが、そのなかで小中高大までの一貫教育体制が整っているのは本校だけです。初等部で約100名入り、中等部で新たに約100名入って2倍になり、さらに高等部でまた2倍になる。倍々で多様な仲間を増やしながら早稲田大学に入ります。その意味で、男女共学という点も含め、早稲田の多様性の中核になる学校です。そういうことを生徒たちにも意識してほしいと思っています。

受験のための先取りではなく
高度な学びへの先取りを

 2020年の大学入試改革を前に、大学受験のある進学校ではその対応に追われていますが、附属・系属校のメリットはそうしたことに左右されない教育ができることに尽きます。受験がないので先取り教育をする必要はなく、ゆとりを持って授業ができます。特定の入試科目だけに力を入れる必要もありません。中等教育に求められる学力はもちろん、課外活動や学校行事などを通して行われる人格形成を自然な形で充実させることができます。これが中等教育の本来の姿だと思います。
 受験のための授業の先取りは大きな弊害がありますが、将来的に進む大学が決まっているので行きたい学部、学びたい学問がある程度定まっていれば、そのための先取りはいつから始めても構いません。それができるのが附属・系属校です。本校でも大学から教員が来て模擬講義をしてくれますし、高2・3になると、特定の科目については大学の正規授業を受講し、大学の単位として取得することができます。そうした大学での学びと重なるような教育をもっと充実させることが必要です。たとえば、早稲田大学に入ると「チュートリアル・イングリッシュ」という科目が必修になります。これは英語しか使わない少人数授業を通して、入学後の早い段階でコミュニケーション力をつけようというものです。これを高校の段階でやっておけば、大学に入ってすぐに英語による講義科目を取ることができるほか、1年生からでも留学ができます。文系の基礎的な数学もそうですが、そうした大学に入って最初に受ける必修科目などは、かなりの部分を高校に下ろして進めることができますし、高校時代にやっておくと大学での学習がスムーズに進みます。そうした高大連携教育については、さらに立体的につなげて充実させていこうと、双方で検討を進めているところです。

留学生との交流も盛んだ

 グローバル教育に向けた取り組みとしては、長期留学制度の充実が挙げられます。中等部ではイギリスの名門パブリックスクール、ラグビー校に2年間留学する制度ができました。中3の夏に渡英し、そのまま高等部の2年に帰ってくることができます。高等部でも、これまでは1年生で1年間留学すると、帰国時はまた1年生に戻るという決まりでしたが、留学先での学習成果が認められれば、元のクラスメートと同じ学年に復学できるようになりました。このように留学をしても大学にストレートで進むことができるルートが確立されたため、長期留学希望者が一挙に増えました。
 短期・中期の海外研修や留学についてはさまざまな制度がありますが、それとは別に、自分で海外研修のプランを立てて行くものに補助金を出す制度があります。夏休みや冬休みを利用して20人ぐらいが行きますが、生徒たちは積極的に応募しています。こうした制度も含めて海外には毎年相当数行っています。外に出ていくことに対して、本校の生徒たちはとても意欲的です。

大学入学はスタートラインにすぎない
「たくましさ」を身につけ、次代を切り拓いてほしい

 早稲田実業では、卒業する生徒のほとんどが早稲田大学の各学部に推薦で入学しています。推薦は生徒本人の志望する学部・学科と、在学時の成績、人物評価などを総合的に判断したうえで実施されます。高3の秋に志望書を回収して、その後、校長が全員と面談をして志望動機の最終確認をします。そのときは1週間かけて約400人と面談をします。大学から与えられた枠のほうが本校の定員より大きいのですが、人気のある学部は成績の上位者から埋まっていくので、希望の学部に確実に進むためには、3年間目標をもってしっかり勉強していかなくてはなりません。学部選択に際しては、模擬講義のほか、大学の担当者が来校して学部説明会を数多く開いてくれますし、大学に出かけて研究室を見せてもらう機会もあります。大学側でもミスマッチは避けたいので、以前にも増してそうした機会を多く持つようになりました。
 保護者の皆さん、ぜひ、たくましいお子さまを育ててください。たくましいというのは、肉体的にも精神的にもたくましいという意味です。みずからネットワークを広げ、自分で汗をかいて活動していくことのできるたくましさです。そういうたくましさをもった生徒たちに期待しています。早稲田実業の使命は、新たな時代を切り拓いていくことのできる豊かな人間性と、確かな学力を持った若者を育てること。それが早稲田大学の次世代の中核を担う学生を育てることでもあります。伝統の継承と新たな価値の創造に共に取り組もうという、意欲あふれる皆さんの入学を心待ちにしています。

これからの時代に求められる人材像─中高一貫校で育む力─ 聖光学院中学校・高等学校 校長 工藤 誠一 先生 女子学院中学校・高等学校 院長 鵜﨑 創 先生 早稲田実業学校 学校長 村上 公一 先生