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安田先生注目!2018年度中学入試

 

Column.
これからの受験生活

安田教育研究所 代表安田 理

「し忘れ」がいちばん怖い

●入試問題の変化はグローバルスタンダードへの流れ
 日本では、学力というと、学んで身についたものが学力という学力観が一般的でしたが、欧米ではコンピテンシー(行動特性)を学力とみなしています。今回の大学入試改革も、旧来型の知識・技能中心の学力ではこれからのグローバル社会に対応できなくなるという危機感からきています。学力観そのものがグローバルスタンダードなものに変化しつつあると捉えてください。
 このところの中学入試問題の変化も、大学入試改革で意図している出題の変化を先取りしたものなのです。新しいタイプの入試問題には、自分の考えを持ち、それを相手にわかるように伝えられる力を見ているものが多いのは、学校が生徒が巣立つグローバル社会を意識し、相手にわかるように構成立てて論理的に話す(書く)ことができる力があるかを見ようとしているからなのです。
 新しいタイプの入試に限らず2科4科入試の問題でも、初めて見る問題に対してどのように考え、どう表現できるかを見るものが多くなりつつあります。「知識・技能」から「思考力・判断力・表現力」へ、中学入試は大学入試より一足早く動き出しているということです。

●親のかかわり方が重要になる
 入試問題が今後全体にこうした方向に変わってくると、塾のテキスト、問題集をやっているだけでは済まなくなります。普段の生活の中で、いかに考えることをさせているか、表現させているかが影響してきます。
 いま街中で母子の会話を聞いていると、8割方、お母さんがしゃべっています。まずこれをやめたいですね。「あなたはどう思うの?」「きみだったらどうする?」と問いかけてください。はじめのうちはすぐには返ってこないでしょう。ですが、ここでしゃべってしまわず我慢するのです。拙い話でも、「こういうこと?」「こうなんでしょ」と途中で引き取らないことです。
 また表現力を高めるには語彙力と広い関心も重要です。いま子どもは大人と会話する機会がありません。スーパーでもコンビニでも口を利かずに済みます。で、親が子どもの次元に下りて話すのでなく、あえて難しい言葉やことわざ、慣用句を使って会話してください。そもそも語彙が乏しいと、本を開いてもわからない言葉ばかりなので、読むのをやめてしまいます。
 広い視野を持つにはやはり新聞を購読したいもの。ニュースはネットでわかると言いますが、新聞は政治・経済・文化・家庭・スポーツ・社会……と、いろんなジャンルが一応目に触れるというメリットがあります。親子で共通のものを目にしていて、初めて話題にできます。そうしたものがないと、「今日学校で何があったの?」で終わってしまいます。
 こうした入試の変化を機に、ぜひ親子のコミュニケーションを増やしてください。入試問題の変化は、大学入試改革がもたらしたものではありますが、その奥には経済・社会のグローバル化があるのですから、親子のコミュニケーションはお子さんの将来のためにも有効であるはずです。