top
連載コラム

入試直前情報−併願校ねらい目予想<PART 1> (08/1/18)
難関進学校の応募者数は前年の反動で伸び悩み
一方で偏差値50〜55の学校が大幅にアップ
この時期になって、第一志望校を変えることはほとんどないでしょうが、併願校をどこにするか、まだ迷っている人も少なくないと思います。しかも、2008年度入試は、全体的に私立中学の難易度が高まることが確実で、例年以上に慎重な出願作戦を立てる必要があるのも事実なのです。

 2008年度入試の最大の特色は、難関進学校の多くで、応募者数が減少する見込みだということです。これは、2007年度に平均2割程度の応募者アップを見たことから、その難化を敬遠されたためで、「冒険主義」から「手堅い出願」に移行しています。ただし、難関進学校は、多少応募者が減ったとしても、易化は期待できません。精鋭による厳しい入試が展開されると考えておいた方がいいでしょう。

 難関進学校の応募者が減った分が大量に流入するのが、偏差値50〜55クラスの学校です。全体的に難易度の底上げが図られることは確実で、これが例年以上に慎重な出願が要求される所以です。安全策として、合格確実な併願校を1校加えておく必要があると思われます。

 では、併願校を選択する際に、どのような基準で選べばいいのでょうか。実は、私立中学入試においては、応募者動向を左右する「公式」のようなものが存在します。それを踏まえて出願作戦を立てる方法が有効になります。

 「公式」の第一は、定員の増減です。定員が増えれば必ず応募者が増え、定員が減れば確実に応募者は減ります。それも、定員の増加に対してはかなり過敏な反応が見られます。たとえば定員が10%増えた場合は、応募者は10%以上増加します。逆に、定員が10%減少した場合は、応募者は10%以下の減少にとどまるというのが一般的な傾向です。

2008年度、定員増加校で注目されるのが、渋谷教育学園渋谷中学です。定員を280名→326名と増やすことから、模試などの結果を見ると、大幅な志願者アップになっています。

一方、定員減少校で影響が大きそうなのが、早稲田実業学校です。初等部を開設し、その生徒たちが入学してくることから、中等部からの定員は225名→121名と、半減します。そのため、模試の結果によると、同校の応募者数は前年比6割程度になっています。問題は、抜けた4割の受験生がどの中学に流れるかです。ロケーションの関係から、近隣の桐朋中学、成蹊中学、および女子校では立教女学院中学、吉祥女子中学などにレベルの高い層の応募者が増加する可能性が高いでしょう。

 次回は、そのほかの要因から、2008年度入試で応募者数が大きく変動すると思われる中学を取り上げることにします。


chart.gif

■森上展安氏
●プロフィール
株式会社森上教育研究所 代表取締役。1998年「森上教育研究所」を設立、私立中学入試状況の分析と情報提供を中心に、幅広く教育評論活動を行っている。
http://www.morigami.co.jp/