安田教育研究所 代表安田 理氏
〇新設が1校、共学化が3校
首都圏の私立中学に関しては、2014年度入試では大きな変化はありませんでしたが、2015年度入試では大きな変化があります。
●共学化
<男子校から>
・京北…共学化に併せて東洋大学京北に校名を変更し、文京区白山に移転
<女子校から>
・戸板…共学化に併せて三田国際学園に校名を変更
・日本橋女学館…共学化に併せて開智日本橋学園に校名を変更
〇2015年度は「サンデーショック」の年
2015年は2月1日が日曜に当たることから、女子のプロテスタント校を中心に入試を2日に動かす学校が多数あります。このため、1日の実施校が減り、1日の学校で志望者が大きく増える学校が出ます。また2日は逆に、有力校が入ってくるため、もともとの2日入試校は大幅に減る傾向が見られます。女子の上位校は例年とは大きく異なる入試状況になるので注意が必要です。
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1日から2日に動かす学校
女子学院、玉川聖学院、東洋英和女学院、立教女学院、フェリス女学院、横浜共立学園
カトリック校だが、併願の関係で動かすのが、清泉女学院、横浜雙葉 - 逆に2日から1日に動かす学校
鎌倉女学院、湘南白百合学園
〇「グローバル」を冠したコースの新設
従来も大学進学を意識した「特進コース」的なコースは多数ありましたが、近年誕生しているのが、生徒がこれからのグローバル社会を生きていくことを考え、そのための能力・資質を育ててあげたいと意識したコースです。いくつか例を挙げてみましょう。
- 文京学院大女子に「アドバンストサイエンスコース」「グローバルスタディーズコース」「スポーツサイエンスコース」の3コースが誕生。「グローバルスタディーズコース」では放課後・長期休暇の「国際塾」で、グローバル社会において通用する英語運用能力を身につけます。
- 開智日本橋学園(日本橋女学館が共学化)に「グローバル・リーディングクラス」「リーディングクラス」「アドバンストクラス」が誕生。「グローバル・リーディングクラス」では国際バカロレアの中等教育プログラムを学ぶことを予定しています。
- 工学院大附属に「ハイブリッドインターコース」「ハイブリッド特進コース」「ハイブリッド特進理数コース」の3コースが誕生。「ハイブリッドインターコース」は卒業生の3割を海外の大学に進ませたいと考えています。
- 三田国際学園(戸板が共学化)に「インターナショナルクラス」「本科クラス」が誕生。「インターナショナルクラス」ではイマージョン教育をベースにした授業を展開します。
- 二松学舎大附属柏に「スーパーグローバルコース」が誕生。各学年の夏休みに多様な海外研修を予定しています。
〇日程の前倒しが進む(定員配分も前倒し)
1月入試を受ける受験生、2月1日・2日に午後入試を受ける受験生が増えているため、4日以降の後半日程を受ける受験生が減っています。そのため、入試日程を前に持ってくる学校が年々多くなっています。
〇午後入試が一段と増加
- 鎌倉学園(算数1科)、桐朋女子、桐蔭学園、桐蔭学園中等教育、城北埼玉などが新規実施。
〇「適性検査型」もさらに広がる
これまでは東京西部の学校が中心だったが、東京北部、東京以外にも広がってきています。
- 郁文館、共栄学園、京華、桜丘、玉川聖学院、多摩大学附属聖ヶ丘、東京成徳大学、富士見丘など都内のほか、神奈川では横浜が、千葉では聖徳大学附属女子が、埼玉では聖望学園が実施。
- 郁文館、かえつ有明、神田女学園、佼成学園女子、順天、城西大学附属城西、白梅学園清修、聖学院、帝京、東京女子学院、東京都市大学付属、東京都市大学等々力、新渡戸文化、富士見丘、文京学院大学女子、目黒学院、目白研心、公文国際、聖和学院、桐蔭学園、桐蔭学園中等教育、大妻嵐山、埼玉平成など多数。
〇英語入試の増加
小学校の英語教育が本格化するにつれて、英語で受けられる、英語を選択できる入試が広がってきています。
小学校卒業生が2014年度入試より4000人ほど減少しているのに加え、新設校があって定員が増えていますから、全体的には広き門になりますが、上位校の難度はほとんど変化しないとみられます。
またここ1、2年特定の人気校に志望者が集中しています。ですから、堅実な地味めの学校をねらうという作戦が有効です。これとつながるのですが、女子の2月2日はもともとの2日校をねらう、午後入試や適性検査型も新規の実施校でなく、既存の学校をねらう……ということも合格の可能性を高めます。
このほか、2016年度から青山学院大学の系属校となることが決まった横浜英和女学院が2015年度入試で早くも人気が出ています。また、鎌倉学園(算数)、カリタス女子や桐蔭学園の午後入試、麗澤の新コース(AE・EE)、東海大学相模の新設回(2月2日)などに大勢の志望者がいます。