中学受験と子育てを考えるフォーラム title img

講演 森上教育研究所 森上展安氏

男子を伸ばすリベラルな校風が共通点

講演 森上教育研究所 森上展安氏 武蔵中、桐朋中に共通しているのは、皆さんが想像される以上にリベラルな校風だということです。リベラルを謳う学校は少なくありませんが、実質を伴っているという意味では、両校は際立っています。

 たとえば、「自主・敬愛・勤労」を教育方針とする桐朋中では、中学3年間、毎年、3000メートル級の山に登ります。山が好きな先生が多く、先生が撃った熊の剥製が食堂に飾られています。縄跳びにも力を入れ、三重飛びぐらいできないと桐朋生ではないといわれているほどです。こうしたエピソードからも、知識の習得だけをめざしている学校ではないことが分かると思います。バスケットボール部、サッカー部、陸上部をはじめとして、運動部の活動も盛んで、しかも、運動部ごとに大会の成績だけでなく、東大合格者も競う雰囲気があるところに特色があります。

講演 森上教育研究所 森上展安氏 武蔵中は「東西文化の融合」「世界に雄飛」「自調自考」の高邁な三理想を掲げています。自立を促すために、行事や体験学習では、たとえ北海道や沖縄であっても引率せず、現地集合にしていることは有名です。ある部活動で父兄が一緒に何かやろうと計画したところ、顧問から「あまり団結しないでください」といわれたという話もあるほど、「群れない学校」です。旧制7年制高校を前身とする学校らしい香りも色濃く残っており、4カ国語の第二外国語が選択必修になっていますし、変体仮名など、大学レベルの授業も開講されています。

 保護者の中には、そんなに自由な学校生活で、はたして大学進学や将来の就職は大丈夫なのかと、不安視する向きもあるようです。けれども私は、昨今の男子は、これぐらい自由でないと育ちにくいと考えています。中高時代は伸び伸びと学校生活を送る中で、自主性を育み、様々に視野を広げることこそが大切です。それが社会で活躍する上で必要な力の土台になる。そう確信しています。