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安田先生注目!2018年度中学入試

 

Column.
2018年度入試の動向を探る

安田教育研究所 代表安田 理

2018年度入試は大学入試改革を意識した入試が多数登場

●2018年度入試、受験者は増加か
 首都圏の小学校6年生は前年より8200名ほど減っています。それにもかかわらず中学受験の3大模試と言われる、首都圏模試、日能研、四谷大塚の3模試の受験者数は、前年より多くなっています。そのうえ近年は、進学塾に通わないで、またこうした模試を受けないで、中学受験をする層が増えてきていますので、2018年度入試は受験者が増えるとみていいでしょう。

●午後入試、新設入試に大勢の志望者
 文化学園大学杉並、八雲学園、青山学院横浜英和の女子校3校が共学化することは皆さんご承知と思いますので、そのほかの特徴的なことをいくつか挙げてみましょう。
・午後入試の増加
 これまで午後入試を行ってこなかった実践女子学園(GSCでは実施)、三輪田学園といった伝統女子校が午後入試に進出します。そのほか昭和学院秀英も初めて行いますが、模試ではいずれも大勢の志望者がいます。また午後入試の回数を増やした桐蔭学園中等教育、桐蔭学園、江戸川女子、山手学院などの新しい午後入試にも大勢の志望者がいます。
・算数1科入試
 算数1科という入試は男子校では攻玉社、高輪、鎌倉学園などで行われていたのですが、2018年度入試では大妻中野、品川女子学院といった女子校(共立女子も英語インタラクティブトライアル+算数)、東京都市大学等々力、文化学園大学杉並といった共学校でも行われます。模試の志望者数を見ると、女子校でも大勢の志望者がいます。
 海外ではSTEM(サイエンス、テクノロジー、エンジニアリング、マセマティクス<数学>)教育に力を入れていますが、わが国もそうした方向に進む可能性を感じます。
・新しいタイプも一段と増加
 2016年度入試以降、英語入試、思考力テスト、ポテンシャル、リベラルアーツ……と、新しいタイプの入試が急増していますが、2018年度入試でも、ICT型思考力入試、プログラミング入試、ルーブリック評価型入試……と、一段と多様化します。ただこうした入試は、受験生はもちろん保護者も理解できないので、受験者はまだ少ないのが現状です。そういう意味ではねらい目ですが、受ける場合は11月くらいから行われるこうした入試のセミナーに参加して内容をつかんでおく必要があります。
・付属校志向は依然として続く
 そのほかの動向としては、付属校志向は依然として男女とも続いています。「大学入試改革が不透明で不安」「政府の地方創生政策により23区内の難関私立大学の一般入試の合格発表数が減っているから」ということで、中学のうちに付属校にということだと思います。
 が、出題内容が思考力・判断力・表現力重視になることはともかく、制度的には私立大学入試はそう大きくは変わりません。国立大学にしても、2023年度までは英語の民間検定利用(共通テストと併用)、国語・数学の記述式導入が変わるくらいで、私からすると、そんなに心配する必要はないと思います。記述式にしても、各3問で80~120字ですから、中学入試の記述問題と比べるとごく短いものです。
 ですから、大学入試改革への不安から付属校を選ぶ必要はないと思います。付属校そのものの❝良さ❞で選んでいただきたいものです。