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難しめの問題を自分の力で解くこと。
来春の中学入試を目指している受験生に向けて、私立中高一貫校で数学を学ぶ意義とはなにか、また算数の力をつけるためにはどのような学習方法が適しているのか、算数・数学の学習誌として定評がある東京出版『中学への算数』の條編集長にお話を聞きました。
公立の中学で学ぶ数学と、私立中高一貫校で学ぶ数学の大きな違いはどこにあるのでしょうか。いちばん大きな違いは授業時間数です。
文部科学省の命令によって公立学校の授業時間数は1980年代以降減らされ続けてきました。それに対して、私立中高一貫校はその学校独自の判断で授業時間数を決めていて、多くの学校は1980年代と同水準の時間数を維持しています。その結果、一週間あたりの時間数では、倍近くの開きが出てきているところがたくさんあります。時間数が多ければ、先生たちはていねいに解説をしていくことができます。また、高度な内容にふみこむことも可能でしょう。
もう一つ大きな違いがあります。カリキュラムの統一性、連続性です。たとえば、現在の文部科学省が定めた学習指導要領では、以前は中学で学んでいた数学の内容が分断されて高校に移されたものがたくさんあります。これに対して、中高一貫校では分断された内容を統一して教えることができます。バラバラに教わるよりも、まとめて教わる方が理解が深まることは明らかでしょう。
また、高校を卒業するまでに学ぶ内容の合計(大学入試に必要な知識の合計)は以前とほとんど変わりません。その結果、公立の中学から高校へ進んだ場合、高校での数学の勉強が非常に厳しいものになっています。“ゆとり教育”が“つめこみ教育”に変わらざるを得なくなっているのです。授業時間数の多い中高一貫校の方が“ゆとり教育”を実践していると言えるかもしれません。
算数・数学の力をつけるためには、少し難しめの問題を、自分の力で解くことが大切です。わずかずつでも自力で解く努力を続けているうちに、知らず知らずのうちに大きな力が身についてくるでしょう。その際、自分の考えたことやわかっていることを式や図、言葉などでノートなどに残すことを心がけましょう。こうすることで、より考えを深めることができるし、考え続けるという習慣が身についていくのです。
『中学への算数』では誌上にて「学力コンテスト」というページを設けています。実際の入試問題よりも少し難しいオリジナル問題を出題し、読者が答案を作成して応募する形式です。解答は翌々月号に掲載しますので、時間が許す範囲でとことん考えて、分かったところまででも結構ですのでどしどし応募して欲しいと思います。
●編集方針●
最近の中学入試では、型にこだわらない新傾向問題が増えています。 これらは、ためしたり、かぞえたり、整理したり、場合を分けたり、 規則性を発見したり、グラフを書いたり、図形を動かしたり、 立体をいろいろとりあつかったり、というように、 単なる反復練習では解くことのできない、 数学的な発想力や思考力を要求される問題です。 それに応える力を育てることが本誌の最大の目標です。同時に、受験を離れたところでも、算数のおもしろさ、 楽しさを伝えていきます。