先日、2日間続きで、「ナージャの村」「アレクセイの泉」「バオバブの記憶」の映画監督であり、写真家である、本橋成一さんとご一緒させていただく機会を得た。
初日は「バオバブの記憶」の映画上映と、監督のトーク。
その後、お茶をして、そのまま夕食までご一緒した。
その流れのまま、翌日は送迎役・接待役となった。
数えてみると、初日は7時間、翌日は8時間、ご一緒させていただいたことになる。
これだけの時間、一緒にいると、映画の話から、写真の話を終え、話はいつのまにかプライベートなことにまで及んでいた。
私は昔から、ご近所の方にも「え~、そんなことまで私に話していいの~?!」と、顔には出さないが、内心思ってしまうようなことまで聞かせていただくという妙な習癖がある。
本橋さんとも、そんなお話まで飛び出すほど、実にさまざまなお話をした。
そんな、ある時、私がなんの気無しに「監督~」と呼びかけた時、「監督と呼ぶのは、やめてくれ。人のことを、監督とか、社長とか呼ぶヤツにろくな者はおらん」とおっしゃった。
私は以前から、「もし、無人島に流されたら?財産も、家も、肩書きも、服も無く、素っ裸で無人島に流されたら、それでも誰か私と話したいと思ってくれる人はいるだろうか?または逆に、私が話したいと思う、無人島の素っ裸の人って、どんな人だろう?」と考えている。
財産も、家も、肩書きも、服も無くたって、
“話したい”と思ってもらえる人になりたい。
財産も、家も、肩書きも、服も無くたって、
“話したい”と思える人と出会いたい。
そう思う。
本橋さんが、「“監督”じゃなく、“本橋さん”と呼んで」とおっしゃったのは、根底に、私の無人島説と同じような考えを持っていらっしゃるからじゃないだろうかと思った。
今度お会いできたら、私の無人島説を聞いてもらおう。
なんて、おっしゃるかなぁ。
チェルノブイリの原発の日。
4月には決まって「アレクセイの泉」を上映されるそうだ。
「どこでですか?」
「うちの会社」
「え~、じゃあ、東京ですかぁ~」
「東京まで来てでも、アレクセイの泉は観なくちゃ」
なんの臆面もなく、そう、おっしゃった。
これって、凄いことだ。
だって、ご自身がお創りになった映画に対してのコメントが、これなんだから。
来年4月、東京まで観に行ってみようかな、そう思わせる本橋成一さん。
もし、無人島で本橋さんに出会ったら、私は迷うことなく話しかけるだろう。
無視されないことを祈りつつ(笑)。
この話、この間塾に行ってた娘に話した。
「ろくな者はおらん」のくだりで、したり顔をして、「わかるわ~」と言ったのには、笑わされた。
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