娘が中学2年の時のことです。
共学で、まるでまだ小学生の続きみたいな元気な中2の、1学期も終わろうかという頃のある日の休み時間。
A子ちゃんたちは教室のなかで鬼ごっこのようなことをしていました。まだまだ元気が余っている子どもっぽさの残る中2。
なかなか相手が捕まらなかったのか、鬼役のA子ちゃんは、上履きを脱いでターゲットめがけてぽいっ!
ガチャンと音がして教室の窓ガラスが割れました。
その瞬間、教室内はシーンとなりました。
というのは、実はA子ちゃんのクラスは、1学期のうちに、男子がぶつかって1枚、バスケットボールをぶつけて1枚、の計2枚の教室のガラスを割ったばかりで、特に2枚目は続けて壊れたこともあり、先生に「いい加減にしなさい。」とこっぴどく叱られたばかりだったのです。
学校の備品を壊すと、「営繕課」というところに、先生が顛末書を書いてガラスの修理を申請しなくてはならず、「『また先生のクラスですか』と言われたんだぞ。」ということでした。
「どうしよう」「まずいよ」という空気が漂い、みんなが暗い気持ちになった時、男子K君が明るく、「よ~し、わかった。これは、俺らがふざけてて壊したことにしてやるよ。A子黙っとけよ。」と言いだしました。
「だから、これは、俺らがこわしたんだからなっ!なあ、みんな、言うなよっ。」K君とその仲間は2枚目のガラスを壊した時の当事者です。
そして先生登場。壊れたガラスをみて、「これはどうした?」
「はい。すみません。俺らがふざけてて壊しました。」
しばし沈黙・・・・・・・・。
「そうなのか?」「はい。すみません。」
(うわ、怒られる!)
みんなが首を縮めて小さくなったその時、S君が「先生!本当はそれは違います。それは、実はA子ちゃんが上履きを投げて壊しました。」と正直に話してしまいました。
おもわぬ展開に一同びっくり・・・。
先生「おやおや、これはふたつの話が出てきたぞ。だれか見ていた人、どっちが本当なんだ?」
一同シーン・・・・。
「よし、わかった。ではみんなに聞いてみよう。Kがふざけてて壊したという人?」
その場にいたほとんど、目配せをして、はい、と手を挙げる。
「では、A子が割ったと思う人?」
S君はい、と一人だけ手を挙げる。
「本当はどっちなんだ?」
・・・・・。
ここでA子ちゃん泣きだす。
「すみません。本当は私が割りました。すみませんでした。K君たちは関係ありません。」K君思わず目をつぶる。
男の子が女の子をかばう。
正義感に燃えた男子が嘘はいやだと勇気を出して話をする。
最後は正直に真実を話す。
こんな一コマがまぶしい話でした。
この話は、その時に聞いたものですが、いつか誰かに話したい、と思っていたものです。
女の子が上履きを投げたり、教室でバスケットボールをするなんて、と思われる方もいらっしゃると思いますし、決してほめられた話ではないのですが、中学生時代というある意味特別な時間の中での、共学ならではのような話で私は胸が熱くなりました。
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