昨日は仕事の都合でK駅からバスに乗って帰った。
ところがそのバスは我が家の最寄駅行きではなく、一つとなりのO駅着のものだった。
駅前のバス停でおり、ひと駅歩こうと出発した。
夜6時すぎの駅前は結構な人通りだった。駅の階段の下で飲食店の店員さんが割引チラシを配っていた。
私の前には自転車に乗った中年の男性がいて、飲食店のお兄ちゃんが配っているそのチラシに手を伸ばした瞬間、ガシャンと音がして男性が激しく転倒した。
ゴツ、と嫌な音がした。私はスローモーションのように全部を目撃してしまったのだが、自転車のハンドルがまわって、男性は転んだときに手が出ていなかった。
つまり顔から転んだのだが、打った先はなんと駅の階段だったのである!
あ、と思ったその瞬間、たたたた・・・と血が滴り落ち、チラシのお兄さんもびっくり、通行人もびっくりの事故になった。
頭打ってるから救急車、と誰かが言うので、ポケットの携帯がすぐ出せた私は119番することにした。
驚くべきことに、119番はすぐにはつながらなかった。「お客様の電話の情報を送信しています」みたいなメッセージが出て、「はい、いいえ」を選んで、メモリーカウンタがモリモリと100%になるまで会話はできないのである。(ちなみに私の携帯にGPS機能があるのかどうかわからない。)
やっとつながって救急車を呼ぶことができた。「火事ですか、救急ですか?」というところから始まるわけだが、今ここここの駅にいて、男性が転んで顔を打って出血があって・・などと説明していたら、「住所はどこですか?」ときた。
駅の住所なんか言えない。○○線のO駅の先頭○○方面寄りの北側階段下だと言ってるんだから理解してほしかった。
目の前に大手牛丼チェーンがあったので飛び込んでここの住所を教えてください、と言ったが、店の人は二人とも住所は調べないとわからないと言う。
「え~?」と携帯片手に固まる寸前、「こちらで調べて救急車を出します。」とのことで会話は終了。
そんなことをしている間、通行人の働きは素晴らしかった。チラシのお兄さんは新しいタオルを持ってくる、通行人のおじさんは3軒先にあるドラッグストアでガーゼとテープを買ってくる、お兄さんは店から氷を持ってくる。さすが下町というべきか、見事な連係プレーだった。
気になったのは、すぐそばを何人もの中高生が通ったわけだが、見事に無関心だったことだ。助けたり、自転車をどかしたり、男性の散らばった荷物を拾って集めたのはおじさん、おばさんばかり。
目に入っていないのか、手が出せなかったのかわからないが、これは少し残念な出来事だった。
救急車は10分くらい来なかった。到着して男性が救護を受けている間に、親切なおじさん、おばさんたちはあっという間に散会した。名乗ることもなく、ガーゼのお金を要求することもなく。
男性の怪我が頭蓋骨や中身に影響がなく、軽く済むように、顔に傷が残りませんように、と思いながら歩いて帰った。
転んだ時の情景や音がフラッシュバックしてきて夜なかなか眠れなかった。
カテゴリ名: ひとりごと