12月8日(日)
東京農業大学世田谷キャンパスにて
第25回「日本マングローブ学会大会」での口頭発表に行ってきました。
今回は、過去最多の発表数でした。
現在科学研究チャレンジプログラム進行中の中3からも2グループとチャレンジプログラム修了生である高2生と高1生の2グループ、の計4グループでの発表です。
本校のチャレンジプログラムでは、5月に西表島に野生生物の調査活動に行っております。
ここで見たマングローブを構成する樹種が高い海水濃度にも関わらず、必死に生育している姿に魅せられて、各々の生徒の研究テーマを決めています。
また、中3時のプログラムを終了した高校生も継続して研究を行うことができ、今年の高2生は3年間かけて研究を行ってきた集大成となりました。
テーマと内容は次の通りです。
中3「マングローブ以外の身近な植物の耐塩性」
津波や高潮により土壌に塩が混じってしまう被害に焦点を当て、海水による塩害に耐える植物を探すことが目的。先輩方の先行研究より、耐塩性が期待されるトマト、キュウリに加えて、モヤシ、ダイコン、ミズナ、アオジソの計6種類の野菜に耐塩性があるのかの実験を行った。
中3「マングローブ散布体の分布・初期成長特性」
海と川の水が混じり塩分濃度が変化する汽水域に生育しているマングローブに興味を持ち、マングローブの散布体が潮の満ち引きによる流れによって、どのように分散し、母樹から遠くまで離れていくのかを調べてみようと考えた。散布体は、母樹から水中に落下しその後、潮に流され、干潮になると、土壌に定着し発根する。ヤエヤマヒルギ、オヒルギ、メヒルギの3樹種の散布体について、この過程を再現し観察を行った。
高1「ヤエヤマヒルギ及びオヒルギの散布体におけるデンプン量測定」
マングローブを構成する樹種が成長の過程でみせる相対生重量の減少は、散布体(種子)の持つデンプン量の減少が背景に考えられる。そこで今回は、相対生重量の減少時におけるデンプン量の変化について調べるため、デンプン量の測定方法の確立を目的とした。
高2「各種陽イオンがマングローブ散布体の発芽・発根に与える影響」
海水中の陽イオンが散布体(種子)の発芽・発根にどのような影響を与えるのかを探ることを目的に実験で確かめることにした。海水に含まれるイオンのうち、Na⁺、K⁺、Ca²⁺、Mg²⁺の4種類の陽イオンに着目し、それぞれを含む水溶液を組み合わせて、8通りの溶液を作製し(濃度が非常に重要)、その中で西表島のオヒルギとヤエヤマヒルギの散布体を栽培した。
発表前、日ごろからマングローブ研究に関してご指導を頂いている琉球大学の渡辺信先生からそれぞれのグループに温かいアドバイスを受け、いざ出発です!
どの生徒達も長い時間をかけて試行錯誤してきた研究内容に対して、
大学や研究機関の先生方からのたくさんの励ましやご助言をいただけた事が
次につながる原動力になったようです。アドバイスを受けているときの発表者の表情が
とても印象的でした。
また、今回は都立科学技術高校・都立立川高校の生徒たちの発表もありました。自分たちとは違った切り口での活動に、物事の深め方には様々な手段があることに気付かされました。
自分の興味から始めた研究かもしれませんが、研究が研究だけで独立されたものではなく、社会との接続や繋がり、どこかの誰かのためになるものといった意味を見出したものである必要性を実感しました。
反面、学会の最後に
西表島でお世話になっている国際マングローブ協会理事長の馬場繁幸先生から
「きれいな答えを求めることばかりが今の時期に大切なのではなく、
こういった深めていく活動そのものこそが意味のあること」
とのお話がありました。
早く根を張りたいとウズウズしている時期かもしれませんが
波に揺られてどこに行きつくかは分からない、
その過程を楽しむマングローブの散布体のように
今の一瞬一瞬をしっかりと楽しむ方法は私たちが見習うべき姿なのかもしれません。
カテゴリ名: 学校生活
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