• 森上教育研究所 代表 森上 展安さん

      「あの先輩のようになりたい」 あこがれの存在を見つけよう

       中高一貫校に入学する皆さん、合格おめでとうございます。
       中学の1年次から2年次までは、学びの習慣を身につけ、自分なりの学び方を確立する時期ですから、まずは誠実に勉強することが大事です。たとえ第一志望校ではない場合でも、入学したからには、なるべく早く学校の❝文化❞に親しみましょう。早いうちにクラスやクラブ活動といった小集団の中で自分の居場所を見つけ、そこで積極性を出すようにすると、6年間がうまくいきます。特に、英語・体育・美術・技術などの教科や学校行事ではパフォーマンスを表しやすいので、自分の存在感を周りに示すことができます。そうした機会を上手に生かし、自分の持ち味を生かせる分野でリーダーシップを発揮しましょう。
       学校では、横のつながりだけでなく、先輩との縦のつながりを築くことも大事です。そのためには、まずクラブ活動に参加すること。また、学校によっては体育祭や文化祭などの行事で、縦のつながりができるところもあります。中1・2年から見た高2・3生はとても大人で、尊敬できる存在です。そんな先輩たちが身近な場所にいることが、中高一貫校の大きなメリットです。ぜひ、中1のうちに、「あの先輩のようになりたい」という存在を見つけ、自分を成長させる力にしてください。
       また、中学入学前の春休みには、地域の友だちとの縁が続くような関係を築いておくと、一生の財産になるはずです。中学入学の準備としては、英語と数学の勉強を休まずにしておくことが大切。なぜなら、この2教科は積み重ねが大事だからです。さらに入学後も、ゴールデンウイーク前までは行事などが多く、本格的な授業はあまり行われませんから、その期間は自分でペースをつくり、英語・数学のほか、好きな教科を学びましょう。

      正解を求める学びから 問題の解決法を見つける学びへ


       小学生のころは、正確な知識や正解を求めるという勉強法が中心でした。しかし、中学に入ると、自分なりの論理を組み立て、その問題の解決法を追求するような勉強スタイルに変わります。考えることがより大切になるわけですが、今後は学習指導要領の改訂もあり、そうした傾向がより強くなります。考える力を伸ばすためには、机上の勉強ばかりでなく、仲間と一緒に何かを体験するようなフィールドワークにもどんどん挑戦しましょう。留学や学外コンテストなどのチャンスがあれば、自ら進んで手を挙げること。❝待ちの姿勢❞から脱して、何事にも積極的な❝言いだしっぺ❞になってください。
       最近の中学校では、学習面でのフォローやチェックをきめ細かくしてくれるようになりました。しかし、自分の得意教科がとてもよくできて、学校の授業ではもの足りないという場合は、自分のレベルに合わせ、どんどん深掘りすることも大事です。そういう強みを伸ばす勉強は、塾に求めるのもいいでしょう。

    • 中3・高1で行う課題研究が 中高一貫生の最大の強みに


       中高一貫校は、「中3・高1の時期に中だるみしやすい」とよく言われますが、この時期は学外で学ぶ機会をつくると、中だるみの防止に役立ちます。その一つの方策として、最近では留学を入れるケースも増えています。
       また、今後は「eポートフォリオ」という6年間の業績が大学入試に反映されるような入試制度に変わりますから、中高6年間をかけて何をやってきたかという自分のストーリーをつくることも大切になります。そのために、多くの学校では課題研究などの時間を設けるようにしていますが、高校受験のない中高一貫生は、中3・高1の時期を活用し、時間をかけてそれに取り組むことができます。このことは、今後の大学入試において、中高一貫生の大きな強みになるでしょう。
       さらに、この時期に取り組んだ研究課題は、将来に向けて発芽する「種」になることもあります。研究課題はきちんとした調査に基づいて行うものですから、中3の時期は調査の段階と考え、しっかりと取り組むようにしてください。
       将来の進路に関しては、高度な専門職ほど早く目指したほうが、そこに到達できる可能性が高くなります。しかし、一生の職業を中学生のうちに決めるのは難しいでしょうから、まずは漠然とした憧れでもかまわないので、「こんなことをしてみたい」「こんな職業に就きたい」という夢を持ってください。そして、夢を実現するためには何が必要かを考えて具体的な目標をいくつか立て、一歩一歩、それをクリアしていってください。目標を持つ人が、結局は強いということです。
       中学・高校生活は一度きりのものです。皆さん、どうぞ有意義に6年間を過ごしてください。出会う場でもあるのです。

      森上 展安さん
      森上教育研究所 代表
      森上 展安さん
      早稲田大学法学部卒業後、進学塾塾長などを経て、1988年に私立中・高や学習塾を対象とするコンサルタント「森上教育研究所」を設立。現在は同研究所の代表を務める一方、受験や中高一貫教育についての豊富な情報と経験を生かし、評論・分析の分野でも活躍。ほぼ毎週、中学受験の保護者を対象に、著名講師陣による「わが子が伸びる親の『技』研究会」(oya-skill.com)を開催している。

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