朝日小学生新聞特別増刊号 WILLナビNext

変化の激しい時代だからこそ根本的な価値観が重要になる

学校生活を楽しむことがその後の人生に生きてくる

 中高時代は、将来、社会で自立して生きていくための土台づくりの時期です。大学合格だけが目的なら、大学受験対策に特化した教育を受ければいいわけですが、けっして大学合格がゴールではありません。それどころか、現代社会においては、就職すれば、その後が安泰という状況ではなくなっています。大学合格後、さらには就職した後も役に立つ力を身につけることが大切になるのです。

 では、どんな心構えが必要になるのでしょうか。本校では『論語』の素読を行っていますが、『論語』の中に「これを知る者はこれを好む者にしかず。これを好む者はこれを楽しむ者にしかず」という言葉があります。まさに中高時代に必要な心構えが端的に表現されていると思います。たとえば、中学から本格的な英語学習がスタートします。義務的に授業を受けるのでは英語力は身につきません。英語を使ってどんなことができるようになるのかを理解すれば、もっと学びたいという意欲が湧いてきて、英語の学びが楽しくなり、学習効果が高まります。楽しんで学べば、多少の困難は乗り越えて学びを続けることができると思います。もちろん、何に楽しみを見出すかは、一人ひとり異なるでしょう。勉強だけでなく、クラブ活動でも学校行事でもいい。「これを楽しむ」ことが、学びを深めることになり、何かをやり遂げる原動力にもなります。学校生活そのものを楽しむことが、その後の人生にも生きてきます。

 本校でバレーボール部のキャプテンを務めた生徒が、こんな言葉を残してくれました。「勉強とクラブ活動、日常の学校生活は、それぞれ別々のものではなく、すべてつながっている。普段の態度が悪い人は、いざ試合でピンチに立たされたときにボロが出るし、後輩に的確なアドバイスもできない。周囲に気配りする日頃の生活が大切」。とてもいいアドバイスだと感じています。

集団活動の中で与えられた役割に全力を注ごう

 これからの予測が困難な社会では、チャレンジ精神が必要です。失敗を恐れずに困難にも立ち向かう力です。しなやかな柔軟性を持った力、変化に耐えうるたくましい力を養いましょう。それも、多様な個性が集う中高の集団の中だからこそ鍛えられる力です。集団で活動すれば、自分の思い通りにいかないのが当たり前です。自分の希望通りではない役割が与えられることも多いでしょう。その役割に全力を注ぐことで、忍耐力、協調性、リーダーシップ、フォロワーシップなど、様々な力が身につきます。

 近年、新しい学力観として、知識・技能に加えて、主体性・多様性・協働性の涵養が提示されていますが、こうした中高の集団活動の中で、自ずと培われる力だと思います。もちろん、失敗してもいいのです。中高は安心して失敗できる場でもあります。むしろ成功体験しかなければ、社会でちょっとつまずいただけで、心が折れてしまいます。学校生活で失敗を経験し、そこから学ぶことがたくましさにつながるのです。

あなたにしかできないことを中高時代に見つけよう

 2020年度から、新しい大学入試制度への移行が予定されています。気になっている人も多いでしょう。改革の方向性は明らかですが、不透明な要素も残っています。これまでの議論の経緯を見ると、実社会の事象と結びつけた出題が増える可能性は高いと思われます。授業で学んだ知識を日常的な体験や実感と結びつけて考えること、すべての教科の学びが連動して自分の将来につながっていくことを意識して学びを進めていきましょう。

 ところで、近年、AI(人工知能)が目覚ましく進展しています。AIは統計、確率、論理だけが組み込まれており、意味は理解していません。論理がものをいう囲碁や将棋の世界では、AIが勝利し、話題を集めました。一方で、東大合格にチャレンジする「東ロボくん」のプロジェクトは、断念が公表されています。そこで感じるのは、AIにはできないこと、人間にしかできないこと、もっといえばあなたにしかできないことは何なのか。それを中高時代に見つけてほしいということです。

 そのために、勉強やクラブ活動、学校行事などに打ち込みましょう。その中で、個性や特技が磨かれ、自分に自信をもつことができます。そして、仲間と互いに励まし支え合い、喜びや感動を共有することで、自己肯定感が高められ、大きく成長できます。中高時代は、一生付き合える友人に出会う場でもあるのです。

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