朝日小学生新聞特別増刊号 WILLナビNext

大学で何を学ぶのか
「答えのない問題」に対応する力が要求される

 皆さんは、社会の枠組みが大きく変わろうとする時代を生きています。グローバリズムと金融資本主義は従来の産業構造を転換させつつありますし、情報通信技術の進歩は人々のコミュニケーションや統治のあり方を左右するまでになっています

 しかも、今後、どのような世界が出現するのか、誰も正確には予測できません。そうした予測困難な時代を生き抜いていくには、生涯を通して学び続け、どんな環境においても「答えのない問題」に対して、最善の解決策を見出す能力が求められます。

その能力を身につける場、それが大学です。

 大学は、学問を究める場であると同時に、学生の知性と教養を高め、先の見えない未来に対応できる力を養成して、学生を社会へと送り出す教育機関でもあります。大学には、先人たちの膨大な知識や技術が蓄積されており、最先端の研究も行われています。深い専門知識や豊かな教養を備えた先生、同じ志を持つ仲間がいます。こうした環境の中で切磋琢磨し、未来を切り拓く能力を身につけること、それが大学で学ぶ意義といえます。

学ぶ科目や先生を自分で決める大学

 大学の学びは、高校までとは大きく異なります。大学教育には学習指導要領のような法的な決まりはなく、大学によって、先生によって、授業の内容や教育方法が違います。また、決まった時間割もありません。ですから、学びたい科目や先生を選んで、自分だけの時間割を作っていくことになります。自分が追求したい分野を深める、あるいは幅広い分野をできるだけ多く学ぶなど、自分の目的に応じて学ぶことができます。

 最近では教養科目に力を入れる大学が増えています。というのも、高度に複雑化した現代社会においては、狭い範囲の専門知識だけでは通用しないからです。専門分野を深めつつ、それを支える幅広い教養を身につけるのが、大学の学びの特色といえます。

 議論や討論を大切にするのも大学教育の特色です。討論を重ね、多様な考え方に触れながら、自分の考えを深めていく「ゼミナール」や「演習」と呼ばれる授業は、大学ならではの醍醐味です。

 さらに大学では、研究活動も行います。膨大な文献を調べたり、複雑な実験を繰り返したりしながら、自分だけのテーマに挑戦することもできます。

視野を広げて社会との接点を持つ

 大学は、自分の世界を広げる場でもあります。

 海外留学などで異文化を体験することもその一つです。多くの大学が、2週間程度の「短期語学研修」から、1年を超えるような「交換留学」まで様々な留学制度を整えています。留学しても4年間で卒業できる制度や、海外の大学と日本で2つの学位を取得できる「ダブルディグリー」と呼ばれる制度を備える大学も増えています。近年、「内向き」の若者が増え、海外に留学する日本人学生の数は減少していますが、世界の広さを実感するうえでは、留学はとても有意義なプログラムです。

 企業や官公庁などで職業体験を行う「インターンシップ」や、それをさらに発展させた「コーオプ教育」も、実社会を知るために効果的です。そのほか、大学では多様なサークル活動やボランティア活動なども活発です。学業に力を入れるのは当然ですが、そうした課外の活動によって、社会との接点を持つことも、自分の能力を高める上で役立つでしょう。

ものごとの「本質」を考える習慣をつけよう

 大学進学の「その先」を視野に入れておくことも大切です。というのも、現代の高度化・複雑化した社会では、大学院レベルの知的能力が要求される職業が少なくないからです。そのため現在でも、理工系学部の大学院進学率は約4割、国公立大学では6割以上にもなります。文系学部の学生でも、高度な専門職をめざすのなら、法科大学院(ロースクール)、会計大学院(アカウンティングスクール)、経営学修士コース(MBA)などに進学する必要があります。

 以上見てきたように、大学を取り巻く環境が変化していることから、近年、大学ではさまざまな教育改革が進行しています。大学入試制度も、皆さんが受験する2020年度には大きく変わることになります。

 ですから、中高生の段階では、まずは学力の基礎を築くことを心がけましょう。その際に大切なのは、ものごとの「本質」を考える習慣を養うことです。それが、社会がどのように変化しても必須の能力だからです。

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