WILLナビ:よみうりGENKI 次代を担う人材を育てる中高一貫校特集
受験生へのメッセージ
  1. 各校・各先生の工夫と熱意で一気に進んだ教育のIT化
  2. 対面授業とリモート授業ハイブリッドの時代へ
  3. 教育の本質は変わらない形は変わっても常に進化を
各校・各先生の工夫と熱意で
一気に進んだ教育のIT化

 今回のコロナ禍で、教育のIT化が一気に進んだと感じています。ICTを看板に掲げる学校はもちろん、これまでICTの活用に積極的ではなかった学校も、思った以上に対応が早かったという印象を受けました。
 名門校・伝統校と呼ばれる学校は特に対面授業に重きを置くところが多いですが、そういった学校でも早々にリモート授業に切り替えたケースが多く見られました。そこには「子どもたちの学びを止めてはならない」という強い意思があったと思います。とにかく授業を届けなくては、と考えたときに、ICTが役立ったのではないでしょうか。
 ある名門校では、トップダウンでリモート授業の実施が決まりましたが、そのやり方は学年や先生に任せたそうです。ふだんからおもしろい授業、うまい授業をしている先生は、リモートに切り替わったとしても力を発揮します。学校が細かいところまで決めるのではなく、先生方が自由に試行錯誤し、工夫をしたことに意味があったと思います。

対面授業とリモート授業
ハイブリッドの時代へ

 学校、そして塾の授業も、今後は対面とリモートのハイブリッドになっていくのではないでしょうか。アメリカの3000の大学を対象にしたアンケートによると、9月以降の授業をフルリモートにするのは3%、フル対面は2.5%だとか。残りは両方を組み合わせたハイブリッド型です。
 新型コロナウイルス感染症のこの先の感染状況は予測できませんし、最近は50年に一度、100年に一度といわれる自然災害も頻発しています。そのなかで子どもたちの安全を守り、学びを止めないということになると、ハイブリッドにならざるを得ません。リモートにはリモートの良さがありますから、今後は対面とうまく組み合わせていく時代になるでしょう。
 子どもは大人より柔軟で適応力があります。今回のリモート授業にしても、新しいテクノロジーを受け止める子どもたちはある意味、大人以上に対応できていたように思います。そこには非常に大きな可能性があります。今、コロナ禍の中で学んでいる子どもたちは、いずれ親世代には想像できない、新しいアイデアを生み出すかもしれません。

教育の本質は変わらない
形は変わっても常に進化を

 サピックスでも今年、Zoomを使った授業を行いました。全体の骨格の決定や機材の準備は組織的に進めましたが、授業そのもののやり方はやはりそれぞれの先生に任せました。生徒たちの力をどうやって伸ばすかということをふだんから考えている先生に、自由にやってもらうことが大事だと思ったからです。
 たとえリモートでも、サピックスが大事にしてきた授業の本質は変わりません。対面で黒板を使う通常の授業ができないときも、それに代わるものを考えて常に進化していきたいと考えています。子どもたちの将来を考え、より良い教育を追求する、すばらしい先生方がいるのが私立校の伝統ですが、その点はサピックスも同様なのです。
 コロナ禍は新しい教育の可能性を開きました。時代の変化は子どもたちの可能性をさらに高めるので、期待を込めて応援したいと思います。

髙宮 敏郎(たかみや・としろう)
1997年慶應義塾大学経済学部卒業後、三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)入社。2000年、学校法人高宮学園代々木ゼミナールに入職。同年9月から米国ペンシルベニア大学に留学して大学経営学を学び、博士(教育学)を取得。04年12月に帰国後、同学園の財務統括責任者として従事し、09年から現職。SAPIX小学部、SAPIX中学部、Y-SAPIXなどを運営する日本入試センター代表取締役副社長などを兼務。
これからの時代に求められる人材像─中高一貫校で育む力─ 豊島岡女子学園中学校・高等学校 校長 竹鼻 志乃 先生 早稲田大学高等学院中学部 学院長 本杉 秀穂 先生 慶應義塾普通部 部長 荒川 昭 先生