WILLナビ:よみうりGENKI 次代を担う人材を育てる中高一貫校特集
次代のリーダーに求められる力とは
─私立 中高一貫校がいま、考えていること─
  1. 生徒の研究活動を後押しする、知的挑戦に寛容な環境
  2. 教育の在り方を再確認できた、コロナ禍でのオンライン授業
  3. 人の良さを認め合う土壌が、相乗的に力を向上させる
生徒の研究活動を後押しする、知的挑戦に寛容な環境
生徒の研究活動を奨励し、「同窓会学術研究奨励金」などサポートも整っている(写真は、釘を用いない「レオナルドの橋」の耐久度に関する研究)
 

 本校は、早稲田大学の一員として、大学の教旨や建学の精神を共有する直属の附属校です。原則として、生徒全員に早稲田大学への進学が約束されています。
 早稲田大学の教旨に、「広く世界に活動す可き人格を養成せん事を期す」という一文があります。これは、真理探究を通じて、世界の諸問題と向き合い、国際社会に貢献しようということです。本校も、その教旨に則り、知的挑戦に寛容な環境を用意し、自分の好きなことや興味のあるテーマに対して、思い切り探究できる機会を設けています。
 たとえば、優れた研究計画に対して支給される「同窓会学術研究奨励金」もそうした取り組みの一つ。これは、学院生が積極的に研究活動に励めるよう、同校の同窓会が金銭援助を行うものです。今年は、入学したばかりの中学1年生もエントリーし、研究テーマの有為性が認められて、見事奨励金を勝ち取りました。自分たちの学びや活動が評価されるだけでなく、それに対して投資までしてもらえるという意味で、生徒たちにとっては非常に意義のある取り組みになっています。
 最近、生徒たちと話していると、「無試験で早稲田大学まで進学できるから」という理由だけで本校を選ぶというよりも、先述の中学1年生のように、奨励金の制度を知って入学してくる生徒や、「こういうことをやりたい」と、明確な目的意識を持って入学してくる生徒が増えてきています。うれしく思うと同時に、生徒たちの期待に応えられる教育を提供しなくてはと、われわれも責任の重さを感じているところです。

教育の在り方を再確認できた、コロナ禍でのオンライン授業
センターグラウンド
 

 新型コロナウイルス感染症による休校期間中は、早稲田大学と同一のオンライン学習システムWaseda Moodleを活用してオンライン授業で対応しました。たとえば、理科では、実験の動画を見せて、何が原因でこういう現象が起こったのかをレポートにまとめさせたり、「今の世界を見て考えたこと」というテーマで作文を書かせたりとオンラインでの課題のやり取りを活用して、考えることと表現することを意識して追求してきました。
 オンライン授業を行ってみて気づいたことですが、オンラインの学びには、「止めることができる」という特性があります。動画であれば、気になるところを止めて、繰り返し見ることができますし、作文も、所定の場所にアクセスすれば、いつでも何度でも読み返すことができます。そして、学びを一度「止めることができる」と、自分の考えをまとめる余裕ができますし、友人の考えをじっくり咀嚼そしゃくすることもできます。結果的に、そのオンラインのメリットが、本校のめざす教育とマッチして、想像以上の効果を得ることができました。
 コロナ禍において、本校らしさが発揮された出来事がもう一つあります。登校再開後、生徒たちは休み時間にグラウンドを使いたいと伝えてきました。グラウンドは、「密」が発生しやすい場所です。トップダウン的に使用禁止を決定してもおかしくありませんが、本校の教員は、「使いたいのであれば、どうすればいいか考えよう」と生徒に投げかけたのです。すると、生徒たちは、使用ルールを自分たちなりに考え、こちらに提案してくれました。「コロナだから仕方がない」と思考停止に陥るのではなく、「こうしたら使えるのでは」という発想をめぐらし、現状を打開しようとしたことに頼もしさを感じましたし、これこそ学院生のあるべき姿だと再確認させられました。その提案は認められ、生徒は自分たちが考えたルールを順守しながら、元気にグラウンドで活動しています。

人の良さを認め合う土壌が、相乗的に力を向上させる
学習発表会では、宿泊研修の成果をプレゼンテーションやポスターセッションで発表。通常授業の学習成果やクラブ活動などの発表も行われる
 

 本校は、第二外国語の授業を設けたり、短期から長期まで、生徒のニーズに応じたさまざまな留学制度を用意したりと、国際交流も盛んです。今年はコロナの影響で実現が難しいのですが、ヨーロッパおよびアジア各国の協定校からの受け入れも積極的に行っています。高等学院には、高校で1年間留学しても、留年することなく3年で卒業できる「二種留学」という制度もあります。大学受験にとらわれない学校だからこそ、こうした機会を生かして意欲的にチャレンジしてほしいと思っています。
 先日、卒業生と話す機会があったのですが、彼の言葉を借りると、中学部の生徒は「クラスメートの優れたところを見つけるのが上手」なのだといいます。学校生活の中には、学習発表会や英語のスピーチコンテストなど、自分の取り組みを人前で披露する機会がありますが、そこで堂々と振る舞えたのは、「こんなことに取り組んでいてすごいな」「プレゼンテーションの進め方がうまいな」など、評価してくれる級友がいたからだと言います。誰かが認めてくれるという安心感があるから、失敗を恐れずに挑戦できますし、反対に「あいつもがんばっているから、自分も違う分野でがんばろう」と、友人の活躍を見て発奮する場面も多いようです。中学部創立から10年が経ちますが、お互いの人格や努力を認め合うという文化が、確実に根付いてきていることを実感しています。
 先行き不透明な社会ですが、受験生の皆さんには、まず、身の回りにある好きなことを見つけてほしいと思います。その「好き」はやがて「専門性」となり、答えが見つかっていない地球的課題に知的に切り込んでいく武器になります。ぜひ本校で、自分の専門性を模索するとともに、その基盤となる学力や人間力を養って、社会に貢献できるような人材に育ってほしいと思います。

これからの時代に求められる人材像─中高一貫校で育む力─ 豊島岡女子学園中学校・高等学校 校長 竹鼻 志乃 先生 早稲田大学高等学院中学部 学院長 本杉 秀穂 先生 慶應義塾普通部 部長 荒川 昭 先生