中学校からはじまる 英語・数学勉強法

中学生になると、小学校と異なる勉強が始まります。算数の代わりに数学が始まりますし、英語の授業も本格的にスタートします。中学の英語の授業ではどんなことを学ぶのか、勉強についていけるのか、不安に感じている人もいるかもしれません。そんなみなさんに、勉強のコツや成績を伸ばすアイデアなどを紹介します。

数学「「なぜ?」を意識しながら問題に取り組もう!」 数学「「なぜ?」を意識しながら問題に取り組もう!」

次の問題を考えてみましょう。

問題 1 8×8のチェス盤の、左上のマスを除く63マスに駒を置きます。このとき、「駒を1つ選んで、縦または横に隣接した駒を飛び越えて2つ隣りの空いたマスに移し、飛び越された駒を取り除く」という操作を繰り返して、盤に駒を1個だけ残して終了することはできますか。

 この操作を実際に行ってみると……。下図1の◎の駒を2つ隣りの空いたマスに移し(図2)、飛び越された駒を取り除きます(図3)。
 1回の操作により、駒の総数は1個ずつ減りますから、最終的には1個の駒を残すことはできるように思えますが、どうでしょう?

  • 図1
  • 図2
  • 図3

この手の (方眼を用いた論理の) 問題で有名なのが、次です。

  • 問題 2 右図アのように、4×4のチェス盤の対角線上にある両隅のマスを抜き取るとき、残った14マスを図イのようなドミノ牌で敷き詰めることはできますか。

  • 図ア 図イ
  •  きまって用いられるのが、“白黒論法”です。
     マスを互い違いに白黒に塗り分けると、白いマスは8個、黒いマスは6個で、個数が異なります。
     ところが、ドミノ牌をどのように置いても、白いマスと黒いマスは1個ずつ覆われるので、もし敷き詰め可能であれば、白黒同数でなければなりません。
     したがって、敷き詰めることはできません。


 この手法を経験した多くの人は、問題1でも同じように、マスを白黒に塗り分けようとします。しかしウマくいきません。それは、解き方や考え方を単に覚えているだけであることに原因があります。
 問題2で白黒に塗り分けるとなぜウマくいくのか?それは、ドミノ牌を置くと2つのマスを覆うことになるからです。
 問題1では、1回の操作で変化が起こるマスは何個でしょう?
図3に色をつけた3つですね。変化するものが3つなのですから、白黒の2色ではなく、今度は3色で塗り分けるのが自然なのではないでしょうか。……というわけで、下図のように塗り分けました。

初めに駒が置かれているマスの個数は、

(これを、(21、21、21) と表します) で、みな奇数個です。
 1回の操作が終わるごとに、どの色のマスについても、コマが置かれているマスの個数は「1個増える」か「1個減るか」のどちらかです (図3では、(20、20、22)) から、どの段階でも、駒が置かれているマスの個数は、「みな奇数個」か「みな偶数個」のいずれかです。
 したがって、最終的に (1、0、0)、(0、1、0)、(0、0、1) のようにすることはできません。


 数学は暗記科目だという人もいます。しかし、全てのタイプの問題に対してその解法を覚え込むことが無理であることは、容易に想像できます。また、“白黒論法”を経験することは良いですが、なぜ白黒に塗り分けるのかを考えずに覚え込むと、“3色論法”という発想は絶対に出てきません。
 数学が上達する秘訣は、数学を楽しむことです。そのためには、“なぜ”を意識しながら問題に取り組むことがどうしても必要のようです。こうすれば解ける、ではなく、なぜこうすれば解けるのかと問いかけながら学習を進めていきましょう。


 最後に、親御さんに申し上げます。算数が数学に替わる変化はもちろん大きいのですが、小学生から中学生へと変わる、お子さん自身の変化はもっと、ずっと大きいものです。
 子どもは、大人に近づくにつれ「自分の世界」を持つようになります。好きな音楽・好きな映画・好きなスポーツ……etc。親も含め、他の人の“侵入”を許さない自分だけの世界です。それを大きい気持ちで受け止めてあげて、「自分はこれでいいんだ」という漠然とした、根拠のない自信を持てるようになると、子どもは伸びます。
 たとえば、小学生のときに算数の成績が良かったからという理由で持っていた自信は、数学の成績が悪くなった途端に失われます。このような脆い自信に左右されることのない、自己肯定感を子どもが持てるように、温かい目で見守り続けてください。