特別コラム 私立小学校学び魅力探る
立教女学院小学校
佐野 新生 校長インタビュー

今年度から小学校の新学習指導要領が全面実施されます。その目玉である英語教育やプログラミング教育などに関して、先駆的な取り組みを行ってきた私立小学校。立教女学院小学校の佐野新生校長に、私立小学校の教育の魅力についてうかがいました。

  • ▼子どもに最適な環境が提供できる私立小学校
  • ▼学校全体で価値観を共有し教員のチームワークも良好
  • ▼長い伝統を大切にしつつ新しい時代状況にも対応
  • ▼保護者と協力しながら社会のことを幅広く学ぶ
  • ▼ほぼ全員が立教女学院中へ立教大学への推薦枠も豊富

子どもに最適な環境が提供できる私立小学校

──私立小学校の魅力をどのようにお考えでしょうか。

佐野 私立学校は、設立の経緯や建学の精神がそれぞれに異なります。東京には、私立小学校は54校ほどありますが、それぞれに個性的で、伝統も背景もバラエティに富んでいます。その中から、保護者の希望に沿った教育環境、その子どもに最適な学校を選択できること、この選択幅の広さこそが、私立小学校の最大の魅力だと考えています。また、私立学校の教員は、基本的に異動がないため、安定した学校運営が可能です。本校でいえば、お母様が習った先生、場合によってはお祖母様が習った先生が在籍していることもあります。これが校風の安定にもつながっており、安心して子どもを預けられることは、私立学校を選択する大きな要素になるのではないかと思います。

立教女学院小学校 佐野 新生 校長

──女子のみで小学校教育を行う意義をどう考えていますか。

佐野 私もずっと共学でしたから、共学の良さも十分に認識しています。しかし、小学校高学年になって思春期に入ると、共学の場合、力仕事や理科実験は男子が担当するなど、男女の役割のようなものが、無意識的に固定化してしまう傾向があります。ところが、女子校では、すべて自分たちでこなさなければならず、リーダーシップやフォロワーシップがバランよく育つ可能性があります。しかも、一般的に女子はコミュニケーション能力が高く、みんなで話し合い、納得しながら物事を決めていくことができます。こうした活動を通して、信頼感に支えられた仲間意識を育んでいくこともできます。さらに、女性の身体的な構造や、生理的、社会的な役割についての自覚を促す教育についても、変に異性を意識することなく素直に受け入れ、自らを成長させていくことができます。こうした点を考慮すれば、女子だけの小学校教育にも大きな価値があると思います。

学校全体で価値観を共有し教員のチームワークも良好

イースター礼拝・昇天日礼拝・クリスマス礼拝などの宗教行事を通して、より深くキリスト教について学ぶ

──立教女学院小学校の教育理念を教えてください。

佐野 本校の最大の特色は、神様から与えられたそれぞれに異なる能力を尊重し、「一人ひとりを大切にする」というキリスト教の価値観に基づいた教育を行っていることです。ですから、教員の個人的な判断基準で善悪を判断することがありません。そのため、教員のチームワークも非常に良好です。また、本校の創立者は、プロテスタント系の聖公会の宣教師でした。聖公会は、極端な教条主義に走ることなく、人間の理性や科学的な知見を否定しない、中庸な宗派として知られています。本校もキリスト教の価値観を持ちながらも、理性や科学の進歩を踏まえた上で、最良の道を求める姿勢を堅持しています。

──宗教教育を重視しているのでしょうか。

佐野 日本聖公会から派遣されたチャプレン(学校付牧師)による毎朝の礼拝など、祈りに始まり、祈りに終わる学校生活を送ることになりますが、児童や保護者に信徒になることは求めていませんし、教員も信徒は少数です。むしろ、キリスト教の価値観をベースに整えられた学校環境の方が、子どもたちにとっては大きな意味を持っていると思います。自然環境が豊かな場所に立地し、バランスのとれた給食の提供や、グループ学習がしやすい36人学級(約数が多い)、創立以来の私服通学など、一人ひとりを大切にするという精神が、学校のあらゆる場面に散りばめられています。

長い伝統を大切にしつつ新しい時代状況にも対応

1人1台のiPadに、グループで利用するためのiMacが備えられたアクティブラーニングルーム

──どのような教育を展開されているのでしょうか。

佐野 従来から、体験学習や自然教育、子どもに主体的に考えさせる教育に取り組んできましたが、変化が激しい時代状況に合わせた対応も必要です。そこで、本校では、2014年から「ウェル・ラーニング・プロジェクト」を立ち上げ、伝統的な教育を大切にしながらも、新しい教育の試みを始めています。このプロジェクトは、「グリーンラボ」「ブルーラボ」「アクティブラーニング」「グローバルエデュケーション」の4つの柱で構成されています。

 「グリーンラボ」は、花と緑にあふれた学校の中で、自然や人に触れ合う体験を重視した教育プログラムで構成されています。ラボといっても、特定の施設ではなく、こうした考え方に基づいた活動全体を指しています。宮城県南三陸町へのスタディツアーや、茨城県常陸太田市での農業体験など、様々な人々や自然環境に触れながら、人間的な幅を広げています。

 「ブルーラボ」は、全員がコンピュータを使いこなせるようになるICT教育が中心になった活動です。これまでも、5~6年生はタブレットを使った授業を行ってきていますが、2020年度からは4年生以上は全員タブレットを購入していただき、さらに1~3年生に対しても、タブレットを使った授業を導入するなど、時代に即した教育内容の模索を行っています。単に操作を覚えるだけでなく、プログラミング教育やリテラシー教育も含めて、インターネット環境を効果的に安全に利用できる能力を育てています。

──ICTを導入すると、教育のあり方も変わりますね。

佐野 まさにそこに対応するのが3本目の柱である「アクティブラーニング」です。従来からグループ学習や話し合いに力を入れてきましたが、、タブレットを使うようになると、学ぶ範囲も広がりますし、学び方も変わってきます。そこで、従来の机と椅子ではなく、自由に学ぶ形を変えられるような教室を用意し、現代社会が抱える問題をテーマに教科横断的に、主体的に学ぶ授業を展開しています。

 「グローバルエデュケーション」は、創立以来の長い伝統に立脚しています。ネイティブ教員が4名常駐し、英語教育はもちろん、遠足などの学校行事にも帯同し、英語を使う場面を豊富に設けています。また、2年前から国際交流プログラムもスタートしています。世界中に広がる聖公会関係の学校の中でも、安全で教育効果の高いオーストラリアのエマニュエル・アグリカン・カレッジと連携し、約10日間のホームステイ体験を行なっています。現在は、6年生12名程度で実施していますが、軌道に乗れば規模の拡大も検討していきます。

保護者と協力しながら社会のことを幅広く学ぶ

全校児童が食堂に一堂に会する給食。献立は、管理栄養士によって、手作りをモットーに作成される

──食育や「いのち」の教育にも力を入れているそうですね。

佐野 日本ではかなり早い段階から給食を導入し、栄養価の高い、安全な食材を使った上質な食事を提供してきました。現在も、専属の栄養士と調理スタッフが給食を作っており、献立も栄養士と教員が1ヶ月分をまとめて考えるなど、バランスのとれた食事を心がけています。また、家庭での食生活の幅を広げてもらえるように、いろいろな食材を使うように努力しています。なお、本校では、給食の時間は、単に食べるだけでなく、食文化を豊かにする学びの場だとも考えています。全校児童が一堂に会して行う一斉給食を原則とし、6年生が行う配膳に感謝する心を養い、きれいな食べ方を学んだり、食事後の食卓や床がきれいかを確認したりと、食を大切にする姿勢を持てるようにしています。

2003年より、「学校犬」を通して子どもたちの「共感する心」を育てる、動物介在教育に取り組んでいる

 本校には子どもたちと共に学校生活を送る「学校犬」がいます。盲導犬の母犬となる使命を持った犬で、教員と共に毎朝登校し、聖書の授業やキャンプなどの学校行事にも参加します。人の感情を理解できる犬と触れ合う機会があることで、「いのち」の大切さやぬくもりなどを学ぶことができます。

──教育活動には保護者の協力もあるそうですね。

佐野 立教女学院には「藤の会」というPTA組織があり、子どもたちの教育に様々な支援をいただいていますが、小学校には「お父さんの会」という、父親が自発的に組織する会もあり、学校の枠を超えた豊かな教育活動を主催してくださっています。様々な職業に就く父親たちが集い、イベントやセミナーなどを行うことで、子どもたちは社会とオープンにつながっていくことができます。学校と保護者との協力関係が非常に良い関係を保てていることは、とてもありがたいと思っています。

ほぼ全員が立教女学院中へ立教大学への推薦枠も豊富

──立教女学院中学校との連携について教えてください。

佐野 本校を卒業すれば、希望者は原則として全員立教女学院中学校に進学できます。高校募集を行っていないため、そのまま立教女学院高等学校に進むことになります。立教女学院は、立教大学とは別法人ですが、創立者が同じで、聖公会との関係も深いことから、立教大学の系属校となっています。そのため、立教大学への推薦枠も豊富に用意されており、本校から立教女学院中学・高等学校を経て立教大学に進学する生徒は、かなりの割合にのぼっています。

──最後に、保護者へのメッセージをお願いします。

佐野 冒頭で述べたように、私立小学校にはそれぞれ特色がありますから、ご家庭の教育観に合った学校を選択することが最も大切です。本校の場合は、同じ教育理念を共有する立教小学校(男子校)とも運動会を共に行うなど教育連携を行っており、立教女学院中学・高等学校を経て、立教大学に進学すれば、大学まで続く一貫教育を実現することができます。一人ひとりを大切にする教育に力を入れ、安心できる環境のなかでお嬢様を伸び伸びと学ばせたいとお考えの方は、ぜひ本校もご検討いただきたいと思います。

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