このところ法政大学、明治大学、中央大学、早稲田大学といった有名大学が付属校の強化に力を入れています。大学全入時代を迎え、下(付属)からのパイプを太くしておこうというわけです。小中一貫校の構想、中学の開校、移転・共学化、別の学校法人との提携強化……といったさまざまな動きがあり、そのため付属校に関する報道が盛んなこともあって、ご家庭も付属校に目が向いているようです。
付属校の最大のメリットは、併設の大学へ内部推薦の形で進学できること。そのため学校生活が大学受験のための勉強に費やされることなく、6年間を部活や稽古事、趣味に打ち込め、そのお陰で一生の仕事にできる得意分野を見つけることができるといったことが挙げられます。また、進学校と違って、受験勉強に終わらない本質的な勉強ができるというメリットもあります。
私立大学が難しかった1990年代前半くらいまでは、中学・高校から入ったほうが楽という判断から、付属校を受験する人が大勢いました。ところが近年は、私立大学がやさしくなって国公立大学志向が強まっていること、家庭の財布状況も厳しくなっていることから、そのまま併設の大学へ進ませるというシステムの学校は減っています。特に女子大の付属のほとんどは、大学入試において女子大離れが著しいことから、外部大学へ進学する生徒のほうが多い半付属校になっています。
そのため、併設大学を押さえにしながら、できればそこよりもっとハイレベルの大学へ進ませたいというご家庭が増えています。付属校を選んでいながら、それほど積極的には併設大学への進学を望んでいるわけではなく、できれば他大学に進ませたい、「併設大学はあくまで『元本保証』として保険をかけておきたい」という『安心』を求める心理です。
ところが付属校はカリキュラムが受験向けになっていませんから、他大学受験する場合には、進学校にいる場合とは違って自力で何とかしなければなりません。早くから予備校に通うというケースも目に付きます。そうなると、友だちとの交流も、部活も中途半端になってしまい、付属校を選んだ意味がまったくないということになります。
一方、当初は他大学進学を考えていても、併設大学に進む友だちが多いために、自力で受験勉強に打ち込むことができず結局はそのまま上の大学に進学することになった、などというケースも非常に多いのです。
最初から他大学への進学を考えているなら、進学校へ進んだほうが負担は少なくてすみますし、これでは付属校のよさを少しも生かせていないわけです。
付属校は先に挙げたような付属校ならではの特徴をよしとし、大学も併設大学に進むつもりで選ぶべきではないでしょうか。「『元本保証』として保険をかけておきたい」という心理は、学校生活も中途半端になる恐れがあることを知っておいてください。
|
|