高校受験まで待ったほうがいい?

ご近所のお母さんから、「最近は都立高校もよくなっているから、無理して中学受験させなくてもいいのでは……」と言われました。都立に「進学指導重点校」というのができたと聞いたのですが、どういうことなのでしょうか。
  安田先生のアドバイス
お子さんの状況次第ですが……

 都立高校からの大学合格実績が長期にわたって低落する一方だったので、それを何とかしなければならないと、東京都は2001年に一部の都立高校を「進学指導重点校」に指定しました。さらに2003年にはどこの高校にも進学できるように学区をなくしました。最初に指定されたのは、日比谷、戸山、西、八王子東の4校でしたが、その後、青山、立川、国立が指定され、現在は7校となっています。
 このような学校指定が行われ、しかも学区が撤廃されると、学力に自信のある生徒はこれら特定の指定校に集中するようになりました。その結果、「進学指導重点校」の大学合格実績は回復してきています。
 入試においても、大学合格実績の高い学校に人気が集まるようになって、トップ校ほど厳しい入試が目立つようになっています。そのため、2番手の学校との間のレベル差が開く傾向にあり、2番手の学校は以前より入りやすくなっています。また、出来る子が特定の学校に吸い上げられてしまって、4番手以下になるとお手本となる子がいなくなっているという状況もあります。
 精神年齢が幼く、中学受験に向かないという子どもは大勢います。大きく成長する時期も子どもによって大きく違うことも事実です。ですから誰もが中学受験したほうがいいとは言えません。
 ただ、高校受験まで延ばしたからといって、これら「進学指導重点校」に入れるわけではありません。この7校を含め、レベルの高い都立高校13校は、国語・数学・英語の3教科については共通問題ではなく、それよりずっと難しい高校ごとの自校作成問題で入試を行っています。それだけ高い学力を求められているわけで、中学受験しないにしてもいまのうちからしっかりした基礎学力をつけておくことは必要です。
 また、中高一貫教育の良さは、大学進学だけにあるのではなく、高校受験のない6年間に部活を目いっぱいやれる、お稽古事にも打ち込める、個人的にも多様な経験ができる、自分について深く考察する時間が持てる……といったさまざまな良さがあることも押さえながら、お子さんにとってはどういう形がいいのか十分考えてあげてください。
 


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