「PISA型」学力とはどういうことですか?

最近「PISA型」学力という言葉をよく耳にします。難関中学の入試問題もその方向にあると聞くので気になります。
  安田先生のアドバイス
新聞などを材料に、「なぜそうなると思うのか」問いかけをし、自分で考えさせよう

 PISA調査というのは、OECD(経済協力開発機構)が実施している国際学力調査のことです。PISA調査は、学校のカリキュラムをどの程度習得しているかを評価するものではなく、「知識や経験をもとに、自らの将来の生活に関する課題を積極的に考え、知識や技能を活用する能力があるか」をみるものです。具体的には、

 ①知識や技能を実生活の様々な場面で直面する課題にどの程度活用できるかをみる。
 ②図表・グラフ・地図などを含む文章が重視され、出題の約4割を占める。
 ③「選択式」を中心にしながらも「自由記述形式」の出題が約4割を占める。
 ④記述式では、答えを出すための「方法や考え方を説明する」ことが求められる。
 ⑤読解力として「自分の意見を表現する」ことが求められる。

という特徴があります。
 調査のたびごとに(3年に1回実施)日本の順位が下がっていることが、「学力低下」の根拠の1つとなっています。文部科学省の全国学力調査は、国語・数学の問題は「知識」の「A」と「活用」の「B」の2種類に分かれていますが、B=活用は「PISA型」学力の出題傾向を踏まえて出題されています。
 最近の中学入試でも、上位校ほど知識・技能の習得・再生を問うのではなく、応用力・思考力・判断力・表現力をみるようになっているので、「PISA型」学力が注目されているのです。
 ご家庭でできることですが、一例を挙げますと、新聞に出ている図表・グラフ・地図などを使って、「なぜそうなっているのだろうね」「あなたはどう思うの?」「あなただったらどうする?」といったような問いかけをすることが有効です。といっても、こうしたやりとりがスムーズにできるお子さんはごく一握りです。大多数のお子さんは黙ったままか、見当ハズレのことを言うでしょう。そうしたときに、親がすぐに答えを言ってしまってはこうした力はつきません。辛抱強く子どもが発言するのを待ってください。ヒントを与えながら、少しずつでも自分の頭で考えること、自分なりの考え・意見を言うことができるように導いてあげてください。少しずつ発言ができるようになります。……日々のそうした積み重ねが、「PISA型」中学入試問題への根本的な対応策なのです。
 


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