結論から言うと、焦って入塾する必要はありません。「算数・国語教室」に通っているのであれば、一定時間机に向かう集中力と計算・漢字といった基本的学力はつくでしょうから問題ありません。ほとんどの進学塾が、本格的なカリキュラムは4年から始まります。大手塾の新学年は2月なので、実質的には3年の2月からということになります。入塾はそれからで大丈夫です。むしろ時間があるうちに以下のようなことをやっておいた方がいいでしょう。
先に中教審(中央教育審議会)が「言語力」の育成が必要であるという方針を打ち出しましたが、確かにいまの子は学力のベースとなる「語彙力」がとても乏しくなっています。そうなったにことについては、親御さんの責任も大きいと思います。親戚や隣近所の人が家に上がるのを敬遠するようになった、セールスなどの人を家に入れなくなった、子連れの外出はいつも車……要するに子どもがよその大人と接する機会を奪ってきたのです。同年代としか話さなかったら、語彙が増えるわけがありません。語彙を知らなければ、新聞を読んでも本を読んでもわからない言葉ばかりです。意味がわかりませんから読む気が起きないのは当たり前です。
会話の材料として、新聞は有効です。ニュースはネットでわかるからと、新聞を購読する人が減っていますが、お子さんに読ませるためにも購読したいものです。親が読まないで、子どもが読むわけがありません。居間にはさまざまなジャンルの本を置いておき、親自身が読んでいる姿を見せましょう。「重松清」とか「あさのあつこ」とか、最初のうちは大人が読んでも子どもが読んでも面白いものがいいかもしれません。
昔の子どもに比べると、住居事情が違うせいもありますが、いまの子は動物を飼ったり、植物を育てたりする経験が乏しくなっています。虫に触れなかったり、裸足で泥の中に入れなかったり……。教科の勉強以外の経験が乏しいと、面白がるもの、強い関心を抱くものが見つからなかったりします。子どもは大好きなものについてはいつまでも関わり続けます。そうしたこだわる経験があってはじめて、自分から調べる姿勢が自然と身につき、深い勉強につながります。
ですから、いまのうちに大好きなものに出会うキッカケを作ってあげていただきたいのです。長い目で見れば、テキストに向かう時間よりも、子どもの成長に影響します。
ごく当たり前のことを述べました。一つ一つは決して難しいことではありません。ただこれらを続けることは案外難しいものです。できることだけでも始めてみてください。
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