父親が教えるのを嫌がる息子

父親は一生懸命なのですが、最近子どもが父親に教わるのを嫌がるようになりました。これからというときに困っています。
  安田先生のアドバイス
肉親が教えることは難しい

 格差が拡大し、子どもの将来が不透明な社会。「わが子に少しでも有利な条件を与えておいてやりたい」―そうした潜在心理から一生懸命になるお父さんが増えています。
 この春幾つもの学校で、「学校説明会に皆勤(すべての会に参加)して、いつも最後まで残って質問してくる父親がいた」という話を聞きましたし、今年度入試では、1校につき合格は1つ取ればOKなのに、その学校の入試回すべての合格を取ったという(まったく意味がない)、理解しがたいケースまでありました。
 自分自身も中学受験を経験したという人が多くなっていることも、中学受験にコミットする父親が多くなった背景にあります。
 学校説明会に足を運ぶ、テストの結果、志望校の配点・検査時間・出題傾向の分析などを行うだけでなく、実際に勉強を教える父親も増えています。特に父親が理系出身だったりすると、母親から中学受験の勉強においてもっとも比重の高い算数を教えてくれるよう頼まれることが多いのです。
 父親はハリキッて教えようとします。得意分野ですから自分では問題を難しいとも感じず、子どもが理解できないことを理解できません。優秀な父親であればあるほど、無意識のうちにわが子も自分と同じ能力があると思っていますから、できないと、「なんでこんなことにそんなに時間がかかるのだ!」「いままで何やっていたんだ!」……と、つい厳しい言葉を吐きがちです。わが子なので遠慮がなく、よその子だったら絶対に口にしないような暴言も吐きがちなのです。まれにですが、手が出てしまう父親もいます。
 夏の段階ですでにスムーズにいっていないようなら、父親が教えることはあきらめたほうがいいと思います。お互いにストレスが蓄積していく11月、12月に爆発する危険性があるからです。
 塾の先生に自力でやる勉強法を相談してみてください。自力ではどうしても出来ない子で、経済的に余裕があるなら個別指導塾に通わせるという方法もあります。
 父親に限らず親が教えられれば、経済的にも時間面からもそれが望ましいのですが、実際には肉親が教えることは結構難しいと思ったほうがいいでしょう。
 一般的なことを言いますと、親が教える場合には、「よその子を教える」精神状態で臨むようにしたほうがいいでしょう。
 


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