私は仕事柄よく私立中学の先生と話をしますが、先生たち自身が最近の父親の熱心さに驚いています。幾つもの学校で、「学校説明会に皆勤(すべての会に参加)して、いつも最後まで残って質問してくる父親がいた」という話を聞きましたし、今年度入試では、1校につき合格は1つ取ればOKなのに、その学校の入試回すべての合格を取ったという(まったく意味がない)、理解しがたいケースまでありました。
お宅のように自分自身も中学受験を経験したという人が多くなっていることも、父親の参加率の上昇と温度の高さにつながっています。
最近、知り合いのお母さんからもお宅と同じようなこんな悩みを打ち明けられました。父親が、会社で部下を評価するのと同じ感覚で、大手テスト会社3社の偏差値、主要教科の授業時間数、放課後の講習、長期休暇期間中の講習、教科書・副教材、国公立大学合格者数、早慶上智合格者数、1クラスの人数……などの項目を設けた表を作り、各項目の合計点の高い学校こそ間違いがないと主張するのだそうです。
お母さんのほうは、学校が持っている教育上の工夫、生徒への温かなアプローチ、生き生きしている在校生の姿……そうしたものから別な学校をいいと思っていて、子どももその学校にいい印象を持っているといいます。
結婚でもそうではないでしょうか。若くして就職希望ランキング入りする有名企業の管理職、年収1千万以上、身長が自分より10㎝以上高い、都心のマンションに居住……といった誰もがうらやむ好条件の相手でも、結婚生活は5年で破綻、などという話はザラにあります。この父親が熱心に研究している客観的条件も、所詮はその類です。
それに、子どもは、「行きたい」学校があるからこそつらい勉強を乗り切れるわけです。実際、やさしい学校は軒並み不合格だったのに、偏差値的にはいちばん高かった自分が入りたかった学校だけ受かった、というケースはよくあります。
本人が受けたい学校を受けさせる―これは是非実現してください。その上でお父さんが勧める学校も併願する、そうされてはどうでしょうか。
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