このところすごい勢いで「付属校の模様替え」が進んでいます。以前は付属校というと、おっとりしていて学校の中身もほとんど変化がないというのが普通でした。ところが最近では、進学校よりもむしろ付属校の方が大胆な学校改革を進めています。
2010年には中央大学が中央大学附属高校の隣接地に中央大学附属中学校<仮称>を開校するほか、横浜山手女子中学・高校を付属校にし、同時に共学化する計画を立てています。
こうした付属校の強化策の裏には、「大学全入時代」を迎えて早期に確実な定員を確保すると同時に、大学の中核を担う人材を養成しようという狙いがあります。
また、ご質問のように、併設大学への推薦権をもったまま他大学受験ができる学校が増えているほか、併設大学へ進学するのではなく他大学進学を目指すという「他大学受験コース」を設ける付属校まで出てきました。ですから、他大学に進学する生徒が増えていることは事実です。
ただ、気になるのはそこに『元本保証』に惹かれている部分があるということです。付属校を選んでいながら、それほど積極的には併設大学への進学を望んでいるわけではなく、できれば他大学に進ませたい。「併設大学はあくまで『元本保証』として保険をかけておきたい」という『安心』を求める心理です。
ところが本音は他大学受験となると、カリキュラムが受験向けになっていない付属校の場合は、進学校にいる場合とは違って自力で何とかしなければなりません。早くから予備校に通うというケースも目に付きます。そうなると、友だちとの交流も、部活も中途半端になってしまい、付属校を選んだ意味がまったくないということになります。
最初から他大学への進学を考えているなら、進学校へ進んだ方が負担は少なくてすみますし、これでは付属校のよさを少しも生かせていないわけです。
付属校は、本質的な勉強ができる、部活を高3までできるといった付属校ならではの特徴をよしとし、大学も併設大学に進むつもりで選ぶべきではないでしょうか。「『元本保証』として保険をかけておきたい」という心理は、学校生活も中途半端になる恐れがあることを認識してください。
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