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東京電機大学中学校さんの日記

2012年10月25日10:44

英語合宿レポート
 

■育てたいのは英語力だけでない
東京電機大学中学校では、中学2年生の10月にブリティッシュヒルズで英語合宿を行う。「まだ英語を学び始めておよそ1年半しか経っていないのに、意味があるのか?」と議論になったこともある。しかし、この英語合宿のメインイベント、スピーチコンテストを見ると、この行事には隠れた目的があることがうかがえる。

最近では小学校でもディベート型、プレゼン型の授業が導入されてきているようだが、TVや新聞で特集されるところを見ると、まだまだ日本では一般的ではない。多くの生徒は人前で自分の意見をスピーチするという経験が少ない。

英語合宿では、まずクラスメートの前でスピーチをする。その後、各クラスから4人ずつの代表が選出され、再度原稿を練り直し、翌日に学年全体の前で披露してネイティブの先生に採点してもらい、優秀者を決定する。学校で毎日顔をあわせる友達とは和気あいあいの関係のはずが、スピーチをする段になると途端に極度の緊張状態に…。既知の間柄でさえこれだけ緊張するということを肌身で感じる。社会人になればプレゼンや意見を述べる機会はもはや避けられない時代であることを考えると、この英語合宿のスピーチ体験は社会人へ成長するための第一歩ともいえる。

事前に15ほどのテーマの中から自分のテーマを決定して原稿を作っていく。添削を繰り返し、原稿を完成させた後は、スピーチの練習を行う。まずは自分で練習して、次に担当の先生のところへ行って聞いてもらう。これは学校内のすべての英語科教員が行う。場合によってはここでも原稿に手直しが入る。生徒たちの多くは、習ったことのない担当の教員のところへ行って指導をあおぐ。これも緊張をしいられる大事な経験である。

■英語はあくまでも「手段」
英語の4技能(書く・聞く・話す・読む)を習得するのはもちろん前提。しかし、どんなに英語が流暢でも問題はその中身。店でのやりとり、電話での応答の仕方…も大事だが、定型的な「お天気」レベルの話では意味がない。
 
英語合宿では、ネイティブの先生がSpeech Skillsの他にCulture & Manners、Describing Peopleの講義をする。スコーンを作るCookingの授業もある。相手の意思を自分の持っている限りの知識で類推し、何度もやりとりを通じる中で理解しようとする。自分の伝えたいことは、辞書やボディランゲージを駆使し、友達と相談したりして何とか伝えようとする…。このやりとりこそ「コミュニケーション」の基本。たまたま「英語」という異なる言語だから必死に行うことだが、実は日本語でも基本は変わらない。「日本語だから…」といって私たちはお互いに分かったつもりで済ませたり、必至さを忘れたりあきらめたりしていないだろうか。

大切なのは、相手を理解したい、伝えたいという「強い気持ち」。英語合宿での経験は、そのことに気づくかもしれない「仕掛け」の1つである。

■英語合宿はどうだった? 
〇M・Hさん
家族にとって、とても大切な存在であるペットのことについてスピーチをして、優勝したM・Hさん。「ジェスチャーは、恥ずかしさを捨ててやりました(笑)。ブリティッシュヒルズの先生に『笑顔とアイコンタクトを忘れないように』と言われことを心がけてスピーチしました。授業では分からない単語もあったので難しかったです。もう少し滞在したいと思いました。」彼女のスピーチは11月の説明会でも聞けるかも!?

〇Y・Kくん
クラス代表に選ばれたY・Kくん。自分の好きな季節についてスピーチしました。「先生とすれ違った時など、できるだけ英語を使うように心がけました。スピーチは直前に頭が真っ白になって思い出すのに必死でした。1位~3位まで受賞したのが全員女子だったのでちょっと悔しかったです。イギリス出身の先生の授業がありましたが、ふだん学校ではアメリカ発音を聞いているので、聞き取るのが少し難しかったです。」

〇K・Mくん
「スピーチは緊張しましたがいい経験でした。僕は授業での内容がよくわかり、楽しかったです。滞在期間がちょっと短いかな。」

〇M・Mさん
「一番楽しかったのはやっぱりクッキングの授業。作り方を英語で教わるので、順序や入れるものを間違えないようにするのに気をつけました。作ったスコーンは家に持ち帰って家族で食べました。好評でした。」

■TDUでの行事の位置づけ
東京電機大学中学校では、行事の数が多いことに目を引く。英語合宿はもちろん、中学1年生での林間学校やボランティア活動、中学2年生の職業体験、中学3年生の修学旅行や卒業研究、各学年での見学会、芸術鑑賞会に、強歩大会、百人一首大会。数多くの理科実験など…。とにかく経験や体験の中で、仲間と協力しあいながら臆さず何事にもチャレンジするハートを育てていることが分かる。向芝校長は「教員は事前や事後の指導を行うのはかなり大変です(笑)。しかし行事が多いことにはわけがあります」と言う。「ある生徒にとって、ある行事でタイムリーに心にひっかかる場合もあれば、ある生徒は、ずいぶん後になってからそれを思い出して考えることもある。それはそれぞれの生徒の成長段階によって異なります。だからこそ、そのような機会をできるだけ多く生徒に与えたいのです」。

ぜひ一度、学校へ足を運び、素直で活気のある生徒たちのようすをご覧いただければと思う。

 

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