• 中学校からはじまる
      新科目勉強法
      中学生になると、小学校では勉強しなかった科目も学ぶことになります。
      算数の代わりに数学が始まりますし、新たに英語の授業もスタートします。
      どんなことを学ぶのか、勉強についていけるのか、不安に感じている人もいるかもしれません。
      そんなみなさんに、勉強のコツや、成績を伸ばすアイデアなどを紹介します。
      堀西 彰さん

       これから、小学校ですでに習った「三角形の合同」を題材にして、みなさんがこれから学び始める数学の、特に図形の世界を、少しだけのぞいてみることにしましょう。

       まずは、「三角形の合同条件」のおさらいから。
       2つの三角形が合同である (一方を移動して他方にぴったり重ねあわせることができる) ための条件として、次の3つがあります。

      Ⅰ. 3組の辺がそれぞれ等しい。
      Ⅱ. 2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい。
      Ⅲ. 1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい。
       合同条件の意味は、Ⅰでは、「3つの辺の長さ」が与えられたら、だれが描いても合同な三角形しか描けない、ということです。
       つまり、たとえば、
        「3辺の長さが4cm、5cm、6cmである三角形を描きなさい」
      と言われたら、コンパスと定規を使って、右の図のように描くことができますが、いつも同じ大きさ・同じ形になりますね。
       Ⅱ、Ⅲについても同様です。

       ところで、Ⅱに、「その間の」という一言が入っていることを不思議に思ったことはありませんか? この一言を取り去って、
        「2組の辺と1組の角がそれぞれ等しい」
      としたらどうでしょう? たとえば、
        「辺ABの長さが4cm、辺BCの長さが5cm、角Cの大きさが45°である三角形ABCを描きなさい」
      と言われたら、いつも同じ大きさ・同じ形になるとは限りません。右の図のように、2通りの異なる三角形ができますね(このとき、図の2つの三角形で、……★ となります)。
       したがって、上のように辺の長さや角の大きさが分かっている2つの三角形があるとき、それらは合同であるとは限らないのです。
       これこそが、Ⅱに、「その間の」という一言が必要不可欠である理由なのです。
       このように見てくると、「三角形の合同条件」とは、それぞれの条件にある辺の長さや角の大きさが与えられたら、それを満たす三角形は、この世にただ1つしかない、ということだと分かります。
       では、以上の話が背景にある問題を考えてみましょう。


       三角形ABCの角B、角Cの二等分線が対辺と交わる点をG、Hとし、BGとCHが交わる点をIとする。IG=IHのとき、三角形AGIと三角形AHIは合同になる場合とそうでない場合がある。合同であれば三角形ABCはAB=ACの二等辺三角形となる。合同でないときは、三角形ABCはどのような三角形になるかを答えよ。ただし、AIも角Aを二等分するものとします。

       もう30年以上前 (!!) の高校入試の問題ですが、今も色あせない良難問です。

      [解説] 右の三角形AHIと三角形AGIは、等しい辺や角が、合同条件Ⅱから「その間の」を取り去った関係です。したがって、この2つの三角形が合同でないとすると、★より、角Hと角Gの和が180°となります。
       そこで、右下の図のようにb、cをきめると、
        角ア+角イ=(b×2+c)+(b+c×2
             =(b+c)
      ×3
       これが180°であるとき、b+c=60°となるので、このとき角Aの大きさは、
        180°-60°×2=60°
       よって答えは、
        角Aの大きさが60°である三角形



      *       *       *


       ほとんどの人が知っている「三角形の合同条件」ですら、本質的な部分をしっかり理解しておかなければ、問題解決の糸口をつかむことさえ難しくなります。
       中学数学で学ぶ図形分野は、その始まりこそ小学校の延長に見えますが、一つひとつの定理や性質を、けっしてイメージではなく、確実な事実の積み上げとして理解していくところが、小学校までの学習とは異なります。
       中学に入って広がりと奥行きのある図形の長大なストーリーを楽しんでください。ご健闘を祈ります。



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