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専門家インタビュー

当り前のものになった中学受験
2008年度は安全志向で中堅校が難化

受験率は年々上昇傾向が続き、1都3県では18.5%に

 今年2月1日の受験者数は、約4万3000人と、去年よりわずかに減少していますが、これは公立小学校の卒業生人口が4%減っているためで、受験率自体は上昇しています。多くの私立中学が入試を行う2月1日の受験者数を1都3県の公立小学生数で割った受験率は、9年間連続で上昇しており、私立中学受験の過熱ぶりがうかがえます(図1)。概算ですが、今年度の受験率は、1都3県全体では18.5%、都心では30%に上るものと思われます。  また、2004年以降は、2月1日の受験者数だけをみても、1都3県の私立中学の募集定員合計を上回っており、競争が激化していることが分かります(図2)。今年の受験者数は減少していますが、今年開校する都立一貫校や公立一貫校の受験者数を合わせれば、中学受験者の絶対数は増加したものと思われます。中学受験は、すでに小学生、保護者にとって当り前のものになったといっていいでしょう。

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上位校の倍率はやや低下し、中堅校の人気が高まる

 今年の受験動向をみると、多少実力不足でも強気で受験するチャレンジ志向が減り、確実に合格を目指す安定志向の傾向が見られます。受験者数が前年比80%台にとどまった上位校が何校も出た一方で、中堅校に受験者が集まりました。さらに確実を期そうと、午後入試の受験者数も増加。その結果、偏差値40台の学校の受験者数が増え、その分、午後入試の倍率も高くなりました。とはいえ、上位校が合格しやすくなったわけではありません。実力の伯仲した受験生層が出願する傾向が強まっているためで、弱い教科があると、それが致命傷になる厳しい入試であることに変わりはありません。

「良問化」に対応できる、基礎力の強化が重要

 一昔前は算数で差がつくことが多かったのですが、最近はバランスよく四教科とも点数を取らないと、合格は難しい状況です。苦手科目を克服し、早い段階で行きたい学校を決め、対策を立て準備を行うことが賢明です。出題傾向としては、単に知識を問う問題が減り、資料や文意を読み取った上で、論理的な思考を要求する問題が増えるなど、「良問化」が進んでいます。付け焼き刃では対応できませんから、丁寧に基礎力を養成しておくことをお勧めします。
 来年は、公立小学校卒業生の数が2%ほど増加し、公立中高一貫新設校が誕生することもあって、さらなる受験者数の増加が予想されます。とくに偏差値45〜50前後の中堅校で、前年に倍率が低かった学校、難関大学進学者数が多かった学校に、人気が集まる傾向は顕著です。なお、2月1日が日曜日にあたり、プロテスタント系の学校の一部が入試日をずらしてくるため、併願できる学校の組み合わせが例年と変わり、入試状況の激変が予想されます。いずれにせよ、情報に強くなり、いきたい学校の動向をしっかり見極めることが大切です。
morigami.jpg 森上 展安氏
(株)森上教育研究所
 代表取締役
私立中高一貫校の教育に関する情報提供を中心に、主に中等教育の評論活動を行っている。