近所に、せっかく入った私立中学をやめてしまった人がいます。

苦労されて入った私立中学をやめてしまうのはどうしてなんでしょう? 小3から受験態勢に入ろうかと考えていたのですが、そんなケースを見ると迷ってしまいます。
  安田先生のアドバイス
十二分に考えて学校を選んでほしい

 ご近所のお子さんが、私立中学を途中でやめた、高校は外部の高校に通っている、そうした姿を見ると、小学生時代の塾通いの姿を知っているだけに、また理由を詮索しづらいだけに、他人事ではない気持ちになります。どうしてなんでしょう。
 そこで、中堅どころの中高一貫校数校に尋ねてみました。どこでも入学者の1割くらいは途中でやめたり、高校進学時に外部受験したりしていました。逆に私立高校に私立中学からの受験者が毎年どのくらいいるものかも聞いてみました。その学校では平均すると毎年約20名くらいの受験者がいました。
 中学受験させようと考えているお父さん・お母さんからすると、とても多い数字だと思います。が、この理由は実にさまざまです。
1. よりレベルの高い高校を受験して外部の高校に進学。
2.家庭の経済状態の変化から学費の安い公立高校に進路変更。
3.いじめなど友達関係が原因で中学段階で公立中学などに転校。
4.第一志望でなかったことを引きずっていて、中1のときから外に出ることを考えている。
5.学力的についていけなくなり、併設高校よりレベルの低い高校へ進学。
 だいたいこんなところです。
 2は、親の勤め先の倒産、突然のリストラなどで学費を払えなくなったということでやむをえないと思いますが、1や4は、その学校に入学させたことがそもそも間違いではないでしょうか。
 中学受験させるにあたって公立中学よりマシだと考えて進学させたのだとしたら、学校に対して、クラスメイトに対して失礼な話です。外部受験が前提なら、高校受験の勉強をしなくてすむという中高一貫教育最大のメリットも意味のないことになります。
 外部受験する家庭の話を聞いていると、ほとんどの人が学校への不満を口にします。「併設高校からの難関大学合格実績が物足りなく、指導力に不安がある」―そうしたことがよく話に出てきます。ですが、データ的なものは受験前からわかっていたことではないでしょうか。
 入学した学校が当初の希望する学校ではなかったとしても、入学させたからにはその学校を好意的に見なくてどうするのでしょう。親の気持ちはストレートに子どもに伝わります。そして、子どもの態度にそうしたものが見られれば、友だち関係がうまくいくわけがありません。世間体ではなく、本当にわが子に合う学校を選ぶことで、途中での転校、外部受験は少なくしてほしいものです。
 


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