受験学年になり、父親が乗り出してきました。どのようなことに気をつければいいですか?

母親だけには任せておけないと、父親があれこれ口を出してきました。父親はどんなコミットの仕方をすればいいのでしょうか。
  安田先生のアドバイス
管理者になって従わせない

 最近ある中学で、入学式後のクラスごとの集合写真を見せてもらいました。先生・生徒と一緒に保護者も写っているのですが、どのクラスも母親の3分の2くらいの人数の父親がいました。最近はそのくらいお父さんも子育てに参加しているのです。入学前の受験生活においてもまったく同様です。
 これまでは、お父さんというと、仕事に追われてわが子の受験も母親任せという人が圧倒的多数でした。ところが週刊誌やビジネス誌が頻繁に「高校別大学合格者数ランキング」や「中学受験」を特集するようになって、お父さんが関心を持ち、参加するようになっています。自分自身が中学受験を経験したという人も多くなっていることが、こうしたことに拍車をかけています。
 お父さんが参加すると、えてしてこのような形になることがあります。
 答案のファイリングからテストの成績のグラフ化、教材消化の計画作成・達成チェック、志望校の出題傾向の分析……本業の仕事さながらに、お子さんの勉強の目標管理に走るのです。お子さんの気持ちに関係なく、仕事同様少しでも効率よく進めようとします。自分の考えたやり方に従わせようとしがちです。
 こうしたやり方でも受かることは受かります。ですが、こうした関係は思春期以降の親子関係をおかしくしてしまいます。また、本人が自分の考えを持つ、それを意思表示する、自分で判断する……といった本来育てなければいけない部分をつぶしてしまうことになります。管理的に指示するやり方はしないほうがいいのです。
 次に気をつけていただきたいのは母親との関係です。夫婦がお互いを尊重する対等の関係でなく、片方が指示をし、もう片方はそれに従うだけという関係は、お子さんのその後の人間関係作りに悪い影響を与えます。中学受験においても、ご夫婦で相談して役割分担して進めるようにしてください。
 子どもが勉強していてそれが身につくのは、精神状態が安定しているときです。成績が落ちて不安なとき、叱責されて暗い気持ちになったとき、自分のことで両親が言い争っているとき……そんなときは勉強しても身につかないものです。
 家の中に明るい雰囲気を作る、楽しく勉強させる……そうしたことはどちらかというとお母さんの役割のように思うかもしれませんが、お父さんにもそうした役割を果たしていただきたいものです。
 単に勉強を見るだけでなく、そんな役割もあるのだと知ってください。
 


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