中学への算数
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海城
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海城中学高等学校
2017年度入試問題算数「中学への算数」編集長がこの過去問をチェック!
 右図のような1辺が6cmの立方体ABCD-EFGHがあります。AI=2cm,BM=3cm,CJ=2cmで,2点I,Jを通る直線と,2点D,Mを通る直線が交わる点をPとします。

(1)三角形PMJの面積を求めなさい。

(2)3点E,I,Jを通る平面で立方体を切るとき,点Bを含む方の立体をXとします。立体Xの体積を求めなさい。

(3)3点D,F,Mを通る平面で立方体を切るとき,点Bを含む方の立体をYとします。(2)の立体Xと立体Yが重なっている部分の体積を求めなさい。
 ただし,三角すいの体積は(底面積)×(高さ)÷3で求められます。
解法のポイント
(3)で,求める立体を直接とらえるのは難しそうです。ちがう部分に注目すると,それ以前の小問の意味がわかります。
解答・解説
(3)4つの立体に分かれますが,体積が1か所求まれば,残りも求まります。どこが求めやすいかな・・・と考えてみると,(1)がヒントだとわかります。
[解説](1)
面ABCDを取り出すと,右図のようになります。
 DI=4cm,
 MJ=1cm
なので, 網目あみめ の三角形どうしの相対比は4:1です。求める面積は,
 
(2)面ABFEを底面とした高さ4cmの直方体を2等分した形です。よって,
 6×6×4÷2=72(cm3

(3)2つの平面による切り口は右図のようになります。これらの平面は上面の点Pと下面の点Qで交わっているので,直線PQが交わりの線(交線)です。
 さて,太線の三角すい台PMJ−QFKに注目しましょう。QP,FM,KJの延長の交点をRとすると,MJ:FK=1:2より,Rの面ABCDからの高さは6cmです。よって,
 [R-PMJ]=0.6×6÷3=1.2(cm3),
 [PMJ-QFK]=1.2×(2×2×2−1)
      =8.4(cm3)
となり,求める体積は,
 72−8.4=63.6(cm3)
海城中 数学科主任 川崎先生のコメント
“好奇心と粘り”をもった生徒に応える海城の数学
 “こんなところにこんな発見があるなんて!”そんな体験をたくさん積んできてください。
 出来た問題についてはそれだけで満足せず、できなかった友達が「なるほど」と納得する説明を君ができるかどうかを自問自答してください。
 出来ない問題があっても嘆きは無用です。中学入試の算数の出題の背景には、多くの先人たちの英知が結集しているのです。「なるほど、それならできないこともあるな」とリラックスして、先人に敬意を表しつつ“名画を鑑賞”する気分で、その筆遣いを少しでも取り入れられるかを楽しみながら検討することが君の財産となるでしょう。
 海城は“好奇心と粘り”をもった皆さんに応える数学を展開します。君の入学を待っています。
「きちんと青春」で、生き抜く力を
国学院大学久我山
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ST第1回の問題
 時計Sと時計Tの2つの時計があります。時計Sは正しい時刻を表します。時計Tはこわれていて,短針は時計Sの短針と同じ方向に同じ速さで動きますが,長針は時計Sの長針と逆方向に,ある一定の速さで動きます。時計Sと時計Tの長針同士が同じ位置にあり,さらに短針同士も同じ位置にある状態を「同針どうしん」と呼ぶことにします。右の図のように,3時に「同針」になりました。次の問いに答えなさい。ただし,途中と ちゅう の考え方もかきなさい。

(1)時計Sの長針と短針が重なるのは3時何分ですか。

 3時20分に時計Tの長針と短針が初めて一直線になりました。

(2)時計Tの長針は1分間で何度動きますか。

(3)3時の後に初めて「同針」になるのは何時何分ですか。

(4)3時から時計Tの長針が2周半する間に,「同針」になるのは何回ありますか。ただし,3時は回数に含みません。

 (4)で最後に「同針」になったとき,時計Tの短針もこわれました。時計Tの短針は時計S
  の短針と逆方向に,時計Tの長針が12周すると時計Tの短針が1周するような速さで動きま
  す。

(5)時計Tの短針がこわれた後,初めて「同針」になるのは,時計Tの短針がこわれてから何時間何分後ですか。
解法のポイント
中学入試でしばしば出題される,変則的な時計算です。問題文を正しく読み取り,さらに,公倍数の考え方も用いて正解を目指しましょう。
解答・解説
( 1 )長針は毎分6度,短針は毎分0.5度の速さで動きます。


( 2 )時計Tの長針と短針は,20分間で合計180−90=90(度)動きました。長針が
1分間に動く角度は,
 90÷20−0.5=4(度)

( 3 )短針は常に同じ位置にあるので,「同針」となるのは,長針が同じ位置にあると きです。それは
 360÷(6+4)=36(分)
おきに起こるので,3 時ちょうどの次は3時36分です。

( 4 )時計T の長針が2周半するのにかかる時間は
 360×2.5÷4=225(分)
です。
 225÷36=6あまり9
なので,答えは6回です。

( 5 )時計Tの短針がこわれた後も,長針の速さは変わりませんから,長針は36分おきに重なります。
 また,こわれた後の時計Tの短針は,時計Sの短針と逆向きに

の速さで動きます。よって,短針は

おきに重なります。
 36と432の最小公倍数は432なので,432分後,つまり7時間12分後です。
国学院大学久我山中 数学科主任 三野先生のコメント
自ら表現する力、問題解決能力の育成を目標とする
 本校では計算力と思考力を育むことを目標にして、成長段階に応じた取り組みを行っています。中学では基礎的な計算力を身に付けられるように、計算力診断テストを繰り返し実施しています。また、中2からは図形の証明などで発想力・表現力を、そして中3からは高校の内容を先取りし、各単元を通じて思考力も養っていきます。
 様々な角度から条件を眺め、上手に組み合わせることによって問題を解きほぐしていく。数学の問題を解きながら、論理的思考を身に付けて欲しいと考えています。
自主独立の気概と科学的精神で
次代のリーダーとなれ
駒場東邦
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 次のように,分子が1以上434以下の整数で,分母が435である分数を小さい順に並べたものを考えます。
 
(1)それ以上約分できない分数のことを既約きやく分数といいます。次の分数を既約分数で表しなさい。
(2)既約分数は全部でいくつあるか答えなさい。

(3)既約分数ではない分数が最も長く続く並びをすべて求めなさい。ただし,約分はしない
解法のポイント
(3)が山場です。435=3×5×29ですから,わかりやすい3と5についてはじめに考え,次に29についての条件を追加しましょう。
解答・解説
(2)までは落とせません。(3)で勝負です。
[解説] 435=3×5×29……………………(★)


(2)★より,既約分数の分子は,3でも5でも29でも割り切れない数 (…☆) です。
 そこで,1から★までの整数で,
  3の倍数,5の倍数,29の倍数
  3,5,29のうちの2数の公倍数である
  3×5の倍数,3×29の倍数,5×29の倍数
  3数の公倍数である3×5×29の倍数
の個数 (★÷3,★÷5,…などの,割り算の商です) を調べると,順に,
  145個,87個,15個
  29個,5個,3個
  1個

となるので,これをベン図に表すと,右のようになります。
求めるものは,図の網目あみめ部分に入る数の個数ですから,答えは,
 435−(145+56+8+2)=224 (個)
   ⇒注 少し高度ですが,本問には背景はいけいがあります。
 1から435までの整数を,
  3で割った余りをa (a=0,1,2),
  5で割った余りをb (b=0,1,2,3,4),
  29で割った余りをc (c=0,1,2,…,28)
 とすると,異なるa,b,cの組は,
 3×5×29=435 (通り) 考えられますが,これらの1つ1つが435個の整数のそれぞれに
 1対1に対応します。
  かりに,等しい組が対応する2数m,n (m>n)が存在するとすれば,435より小さい
 m−nが435で割り切れることになり,矛盾むじゅんするからです。
 以上から,☆の個数は,0と異なるa,b,cの組の数で,2×4×28=224 (個)

(3)1から15までの数が,3で割れる (○)か割れない (×) か,5で割れるか割れないかを調べると,下表のようになり,以後,この○,×の分布はり返されます。

 29を考えない時点では,網目部分が既約分数ではない分数の分子です。
 さて,この○,×の分布の連続の中に,29で割れるか割れないかの○,×の帯
を重ねると,○のつく数,つまり29の倍数が,表の太線わくにきたとき,左右の網目部分と合わせて4つ,網目が続くことになります。
これが,網目部分が最も長く続く場合です。
 太線枠には,4を引くか足すと15の倍数となる数が入りますから,29の倍数の中からそのような数を探すと,116と319が見つかります。 よって答えは,
駒場東邦中 数学科主任 滝口先生のコメント
自主性から確立する、駒東の数学
 駒場東邦の数学は、自ら学ぶ姿勢を確立するために、「予習して授業に臨む」ということを指導の柱としています。中学1・2年の2年間で中学課程を、中学3年から高校2年までの3年間で高校課程を修了し、高校3年では問題演習を中心とした授業となり大学入試の準備をします。進度がはやく厳しいカリキュラムに対応するために、複数学年において、クラスを2つに分けた少人数分割授業(生徒一人ひとりに対する演習量を増やし、添削助言することにより、計算力、図形への直観力、論証力を身につける授業)を実施しています。問題を解くときに、紙と鉛筆を使って、自分の考え方を図で表したり、計算をきちんと書くことから始めましょう。
‐高く・大きく・豊かに・深く‐
高輪
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  上の図のように,白と黒のご石をある決まりにしたがって並べていきます。次の各問いに
 答えなさい。

(1)6番目の形から7番目の形を作るときに新たに並べるご石は何個ですか。

(2)13番目の形で使われている白のご石と黒のご石は,それぞれ何個ですか。

(3)白のご石が570個使われているのは,何番目の形のときですか。また,そのときに使われている黒のご石は何個ですか。
解法のポイント
五角数とよばれるものを題材にした問題です。白のご石と黒のご石に分けて,増え方の規則を考えましょう。
解答・解説
(1)1番目→ 2番目 … 4個
   2番目→ 3番目 … 7個
   3番目→ 4番目 … 10個
となり,3個ずつ増えていきます。これは,3つの辺に並べるご石の個数が1個ずつ増えていくからです。
 6番目 → 7 番目は,
  4 + 3× (6−1) = 19(個)
(2)白のご石は,3番目の形から,3つの辺に 1個ずつ,2個ずつ,…並びます。13番目の形では,全部で
 (1+2+ … + 11)× 3
=(1+11)× 11÷ 2 × 3 ……
198(個)
黒のご石は,1番目の形に1個あり,それ以後は4個ずつ増えていきます。
4つの頂点に1個ずつ置くからですね。13番目の形では,
  1+4× (13−1) = 49(個)
(3)白のご石の個数570をのように
 (1+□)×□÷2×3
の形に表すと,
 570÷3×2=190×2=19×20
より,□ = 19 となります。よって,
 19+2 = 21(番目)
の図形です。
また,黒のご石は,
 1+4×(21−1) = 81(個)
高輪中 数学科主任 松崎 武志先生のコメント
数学そのものの魅力に気付かされます
 数学は文系・理系に関係なく、理論的に考え証明するという、実社会で役立つ能力を育む教科です。算数とは異なり、答えにたどり着く過程の方が重視されます。高校過程では習熟度別授業やコース分けが導入されているので、問題を解ける喜びや数学の楽しさを味わえる環境が整っています。授業ではただ板書をノートに写すのではなく、自分で考えて正解を導く努力をして下さい。そうすれば大学生や社会人になった時、数学を手段として抵抗なく用いることができるようになり、更には数学そのものの魅力に気づくはずです。
6年間で身につける自信と誇り
獨協
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 A町とB町を結ぶ1本の道があります。兄はA町からB町へ,弟はB町からA町へ向かって同時に出発しました。兄は自転車で時速20km,弟は時速4kmで進みました。途中2人が出会った地点から,弟は自転車を使いA町へ,兄は時速4.8kmでB町へ向かいました。次の問いに答えなさい。

(1)2人が同時に目的地に到着するには,弟は自転車で時速何kmで進めばよいですか。

(2)弟は自転車で時速18kmで進み,兄がB町に到着した5分後にA町に着きました。弟はB町からA町まで何分かかりましたか。
解法のポイント
具体的な道のりや時間の条件はほとんどありません。速さと比のあつかいを確認する問題です。
解答・解説
(1)2人が出会う地点をCとします。出会うまでの兄と弟の速さの比は
 20 : 4 = 5 : 1
ですから,これが AC : CB です。

2人が同時に目的地に到着するとき,速さを変えたあとの弟と兄の速さの比も 5:1 です。よって,
 4.8×5 = 24(km/時)
(2)弟と兄がCから目的地まで進む(実際の)時間は,CからAまで時速18km,24kmで進むのにかかる時間とそれぞれ等しくなります。これらの比は,速さの逆比を考えて
 24 : 18 = 4 : 3
です。この差が 5 分なので,弟が C から A まで進むのに
 
かかりました。
 
 
とわかり,求める時間は
 1.2÷ 4 × 60 + 20 = 38(分)
獨協中 数学科主任 田中千絵先生のコメント
正答を求めるだけでなく、求める過程を重視する
 本校では授業を通して数学の基本知識の定着を図りつつ、発展的な問題を解いたり、問題のさまざまな解き方に触れる機会をつくっています。授業は先生と生徒がやり取りしながら進んでいきます。数学の問題は答えを求めるまでの過程を考えて解いていきますが、問題によっては解き方がいくつもあります。それらの解き方を授業で紹介したり、解き方について意見を出し合ってもらう場面もあります。さまざまな解き方を考えるところに数学の醍醐味があります。ぜひ獨協でいっしょに数学の醍醐味を味わいましょう。