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連載コラム

入試直前情報−併願校ねらい目予想<PART 2> (08/1/24)
2月3日が日曜日になるため
プロテスタント校が入試日を移動する影響大
前回にひき続き、併願校を決定する際の注意点について解説することにします。

 近年、応募動向に大きく影響するようになっているのが、大学の合格実績です。前年、東大、東工大、一橋大など、難関国立大への合格実績がどうだったかによって、応募者が増減する傾向が見られるのです。たまたまその年度が不調だっただけであり、単年度の実績にそこまで神経質になる必要があるのか疑問ですが、実際には過敏な反応が見られます。

 たとえば、2007年度は前年に難関国立大の合格者がやや減った攻玉社中学が狙い目になりました。2008年度は、前年の合格実績が好調だった芝中学の人気が急上昇していますし、攻玉社も復調しています。そのため攻玉社と同じ難度にランクされる世田谷学園中学の応募者が減少しています。その意味では、今年は世田谷学園中学が狙い目といえそうです。

 また、2008年度は、2月3日が日曜日となるため、日曜日の礼拝を重んじるプロテスタント系の学校の多くが2月4日に入試日を移動させています。それに伴って、女子の併願校数が増える傾向が見られます。2月3日のカトリック系中学も、4日のプロテスタント系中学も、両方とも受験する女子が増えているわけです。けれども、キリスト教系の学校はブランドイメージが高く、偏差値も高いため、危険な併願作戦になりかねません。信教の関係でぜひキリスト教系へというのなら別ですが、そうでない場合は、キリスト教系中学にこだわらずに合格確実校を確保することをお勧めします。

 さらに、校舎のリニューアルも確実に応募者増加につながりますから要注意です。2008年度は新校舎が誕生した女子聖学院中学、三輪田中学などの応募者増加が必至です。西調布に移転し、共学校になる明治大明治中学も注目校です。女子受験生が大量に流入することが確実だからです。その余波で、同校の併願校として、同じ共学校の明治大中野八王子中学もクローズアップされています。一方で、男子校の明治大中野中学は応募者が減る見込みです。明治大の付属校の受験層は、共学志向の生徒が主体になりつつあると考えられます。

 付属校に関しては、「半付属」の女子校人気の高まりも注目されます。系列大学への推薦を確保しつつ、外部進学も可能とする女子校や付属校であり進学実績のよい「付属」が増えており、そのいずれもが人気を集めているのです。そうした「半付属」女子校は共立女子中学、昭和女子中学など、又、進学実績好調な大妻女子中学、実践女子中学など応募者増加の可能性が高いと思われます。

そのほか、品川女子学院中学、富士見、十文字中学など、2科・4科併設から4科のみの入試に移行する学校も要注目です。2教科型で勉強してきた受験生が流出すると思われ、4教科をしっかり勉強してきた人にとっては狙い目になるでしょう。



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■森上展安氏
●プロフィール
株式会社森上教育研究所 代表取締役。1998年「森上教育研究所」を設立、私立中学入試状況の分析と情報提供を中心に、幅広く教育評論活動を行っている。
http://www.morigami.co.jp/