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連載コラム

教科別の出題傾向(社会・理科編) (07/12/17)
〔社会〕親子一緒に『週刊子どもニュース』を見よう!
〔理科〕実験データを見て現象を読み取る力が問われる
 社会の入試問題で際立っているのが、時事問題の増加です。2007年度は首都圏の128 校中107 校(約84%)で出題されています。

 この傾向に伴って、ほとんどの塾で時事問題を扱うようになっていますが、それでも苦手な子どもが少なくありません。中堅校なら、単にどのような事件が起こったのかという知識さえあればいいケースもありますが、難関校になると、その時事問題が過去のどのような事件と関連して起こったのか、背景や歴史的な流れの中で理解できているかを問う出題が主流だからです。丸暗記するのではなく、歴史の流れを踏まえた体系的な理解を図り、1つひとつ「腑に落ちながら」学習を進めることが重要です。地図帳を手元に置いて、その事件、事象が起こった場所を確認するようにすると、さらに効果的です。

 分野別では、日本の政治・経済に関する出題が目立っています。また、地球温暖化など、環境問題も必須です。頻出分野については、事前にキーワードを整理するように心がけてほしいと思います。

 時事問題に対応するために、家庭学習としてお勧めなのが、NHKテレビの『週刊子どもニュース』の活用です。大人にも役立つ、分かりやすい解説の番組です。できれば、DVDに録画しておき、親子で一緒に会話しながら見るといいでしょう。もちろん、新聞を読むのもいいのですが、活字で内容を読み取るのは大変です。音声、映像の方が記憶の度合いが高まる効果も期待できます。

 一方、理科の入試問題は超難問は減っています。標準的なレベルの問題を確実に解けるようにしておくことが大切になります。

 よく出題されるのは、日常生活において、多くの人が勘違いしているような概念を、科学的に洞察させる問題です。たとえば、重いものと軽いものを落とすと、同時に落ちるわけですが、意外に重いものが速く落ちると勘違いしている人が多い。そういう点が必ず突かれます。ですから、日頃から生活の中で、疑問に思ったことを調べようとする姿勢を身につけることが重要です。

 また、近年は、天気図、実験データなど、図版の読み取り、実験経験の有無を問う出題も必須になっています。よく出題されるものについては、きちんと整理しておくべきです。

 さらに、理科は、学校ごとに出題される分野がある程度決まっています。ですから、直前期は、出題可能性の高い分野に集中して勉強する方法が有効です。過去問を見れば、傾向は見てとれますが、たとえば、植物分類が出題されても、このレベル以上は問われないなど、けっこう細かい傾向もあります。素人判断せずに、塾の先生などに相談する方がいいでしょう。


■森上展安氏
●プロフィール
株式会社森上教育研究所 代表取締役。1998年「森上教育研究所」を設立、私立中学入試状況の分析と情報提供を中心に、幅広く教育評論活動を行っている。
http://www.morigami.co.jp/