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連載コラム

教科別の出題傾向(国語編) (07/11/20)
中学ごとの「頻出テーマ」を意識した学習が有効になる
 ここ数年、私立中学の国語入試問題は、記述式が増加傾向を見せていましたが、それも一段落した感じです。これまで選択問題が多かった中学が、今後突然、記述式を増やすことは考えにくく、従来の出題形式に沿った学習をしておけばいいでしょう。

 要注意なのは、難関校ほど、長めの問題文が出されることです。4000字〜6000字の超長文もめずらしくありません。中学ごとに設問にクセがあり、全文を読まないと設問に答えられない場合と、傍線部の前後だけで答えられる場合がありますが、いずれにしても、ほとんどの受験生は、あまりの長さに耐えられないのが実情です。受験生からは「時間が足りなくて、十分に考えて解く余裕がなかった」という話もよく聞かれます。かなりの速読力が要求されるわけですが、中途半端な読書量で鍛えられるレベルではありません。しかも、内容も高度です。桜蔭中学で出題される文芸論などは、大人でも読みこなすのは大変です。

 そこで、この時期からの国語学習法でお勧めなのが、テーマを意識した学習です。中学入試の国語では、よく出題されるテーマが決まっているからです。

 平山入試研究所の小泉浩明先生の分析(『中学受験必ず出てくる国語のテーマ』・ダイヤモンド社刊)によると、「友人(友情)」「父母子」「自然・環境」「考え方・思考」「文芸(論)」「言語・コミュニケーション」「動植物」「祖父母・おじおば」「文化・習慣」「兄弟・姉妹」「文明・進歩」「先生・生徒」の12テーマが頻出しています。そのほか「生命・死」「生き方・悩み」に関する出題も増えています。

 中学ごとに、特定のテーマの比重が極端に高いケースもあります。たとえば、筑波大学附属駒場中では「動植物」、武蔵中学では「父母子」「友人(友情)」などの人間関係が圧倒的に多くなっています。入試問題を作成される先生方が、そのテーマに愛着を持っているからかもしれません。

 そのため、まずは志望校で、どんなテーマがよく出題されているのかを調べることが大切になります。それぞれのテーマごとに問われる内容も、ある程度決まっていますから、どんな設問が多いのか、あわせて調べておきましょう。

 また、テーマごとに重要なキーワードもあります。たとえば、自然・環境なら、地球温暖化、水不足(さらにはバーチャル・ウォーター)などです。これらのキーワードを知らなければ、文章の流れを読み解くことは困難です。

 その上で、テーマを意識して、視点を定めて読むトレーニングをすることが、直前期の国語学習には重要になるわけです。


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■森上展安氏
●プロフィール
株式会社森上教育研究所 代表取締役。1998年「森上教育研究所」を設立、私立中学入試状況の分析と情報提供を中心に、幅広く教育評論活動を行っている。
http://www.morigami.co.jp/