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山脇学園中学校さんの日記

2017年04月21日13:00

4月8日(土)山脇学園中学校入学式を行いました。
 

 本日平成29年度山脇学園中学校入学式を挙行するにあたり、このように多くのご来賓および保護者の皆様にご列席いただきまして、誠にありがとうございました。学園を代表し、厚くお礼申し上げます。
 ただいま入学を許可いたしました293名の新入生のみなさん、入学おめでとうございます。厳しい入学試験に合格し、晴れて本校の生徒となられた皆さんを、山脇学園は心から歓迎いたします。また、保護者の皆様、ここまで慈しみ育てられた皆様のご苦労を思い、ご息女のご入学を心よりお祝い申し上げます。おめでとうございます。私ども教職員一同、ご息女をお預かりして、最善をつくしてまいる所存です。
 本学園は1903年に東京市牛込区白金町に創設され、今年で、創立114年を迎えます。創立者の山脇玄法学博士は、明治政府の命令でドイツに留学。法律、政治、国法、国家法などを学び、近代日本の法律体系を整えることに関わられた方です。時代の先を見る目の持ち主で、いち早く男女平等を唱えられました。貴族院議会では日本で初めて、女性に参政権を与えることを提案し、満場一致で否決されましたが、節を曲げず、そのためにはより高度な教育が必要と考え、房子夫人とともに山脇学園を創設されたのです。
初代校長となられた房子先生も、女性の教育と地位の向上に力を注がれました。その様々な業績の一つに、皆さんの着ておられる制服があります。これは房子先生がデザインされた、日本で最初の洋装の制服です。
 また、玄先生はドイツ語、房子先生は英語に堪能で、当時先進国であった欧米の要人とも広く交流されました。そして彼らから学ぶべきことは学ぶ一方で、日本人としての誇りを決して忘れませんでした。その毅然とした態度が外国人の尊敬を集めたのです。
このように明治の時代にすでにグローバルな見識の持ち主であったお二人の精神は、今もしっかりと本学園の教育理念に生かされています。
 日本の社会が時代の流れとともに大きな変化を遂げていく中で、山脇学園は女子教育の中核であり続け、現代では多くの卒業生が、社会の様々な場で活躍しています。
 ところで新入生のみなさんは、これから始まる学園生活への期待と緊張感で一杯であると同時に、何事にも力いっぱい挑戦していこうという決意に満ち溢れていることと思います。こうした環境が世界の中でいかに恵まれているものなのか、少しお話してみたいと思います。

 皆さんはマララ・ユスフザイさんという方を知っていますか。2014年にノーベル平和賞を受賞しているので、知っている人も多いと思います。彼女は、1997年にパキスタンで生まれました。お父さんは地元で女子学校を経営していたので、当たり前のように学校へ通っていました。2007年に武装勢力パキスタン・タリバーン運動がその地方の行政を掌握すると恐怖政治を開始し、特に女性に対して教育を受ける権利を奪ってしまったのです。権利を奪っただけでなく、教育を受けようと推進する者の命を狙うような状況になりました。そうした中、彼女は2009年、11歳の時、イギリスBBC放送の依頼でブログを作り、タリバーンによる女子校の破壊活動を批判し、女性への教育の必要性や平和を訴える活動を続け、イギリス社会から注目されるようになりました。2012年10月、彼女が15歳の時、通っていた学校から帰宅する途中、複数の人間から襲撃され、頭と首に計2発の銃弾を受けました。一緒にいた二人の女子生徒も負傷しました。彼女は、幸いなことに最初パキスタンの軍病院で治療を受けることができました。そのとき頭部にはまだ銃弾が残っていたそうです。次にイギリスの病院で手術・治療を受けて、奇跡的に回復をしました。怪我から癒えた後、おそらくまた襲われるのではないかという恐怖を持ちながらも、彼女は、女性が、あるいはすべての子供たちが教育を受けられるように活動を続けたのです。その活動は当たり前のように感じられますが、パキスタンでは、彼女の活動に批判的な人々が多くいるのです。
 彼女は、2014年にノーベル平和賞を受賞しましたが、その前に国連で演説をしています。そこで、次のように言っています。
 「私たちの学校にいた少年に、あるジャーナリストがこんなことを尋ねていたのを覚えています。『なぜタリバーンは教育に反対しているの?』彼は自分の本を指さしながら、とてもシンプルに答えました。『タリバーンはこの本の中に書かれていることがわからないからだよ』」と。教育の大事さを端的に表現した、とても重要な言葉だと思います。
100年ほど前に房子先生が目指したことが、世界では今でも実現されていない地があるのです。
 日本にいると、こうした事件や彼女のような苦労があることさえ理解できないかもしれません。でも世界の中で生きるというのはそういうことも視野に入れるということなのです。マララさんは今年二十歳になります。今日は彼女の生き方や言葉をほんの少ししか紹介できませんでした。関心を持った人は是非彼女の生涯を調べて、自分の将来の生活に生かしてほしいと思います。

 最後になりましたが、保護者の皆様に申し上げます。この度、大切なお嬢様方を本学園がお預かりすることになり、教職員一同、この重い責任を全うするために全力を傾けてまいります。私どもの目標は、ご家庭と学校が力を合わせ、お嬢様方の学園生活を最良のものにしていくことに尽きます。深いご理解とともに、学校運営へのご協力を、心よりお願い申し上げます。
新入生の皆さんが心身ともに健やかに、有意義な学園生活を送られることを願い、式辞といたします。

平成二十九年四月八日
山脇学園学校長 山﨑元男

カテゴリ名: 学校生活

 

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